スキル

【介護が必要な方の口腔ケア】3つのポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

体の健康に密接なかかわりがある口の健康。
介護が必要な方は、特に日々のケアや問題の早期発見が大切です。
このページでは、口腔ケアが見直されるようになった背景や、口腔ケアによる体への良い影響などを説明します。
そして、介護現場での実際に役立つ口腔ケアの方法なども紹介しますので参考にしてみてください。

【目次】
1.お口と体の元気を支える口腔ケア
2.知れば納得!口のお手入れの効果
3.介護での口腔ケアの実際
4.高齢者介護での口腔ケア【加算・資格】
5.まとめ

お口と体の元気のもと『口腔ケア』

「歯を大事にしよう」というのは、昔からよく聞くことばですね。
なぜでしょうか?
歯があることで、例えば、顎の位置を安定させることができます。
すると、足腰の強さや姿勢の安定にもつながってきて、結果として元気に歩き続けることができると言われているのです。

行きたい場所に行く、会いたい人に会いに行く。
こうした気持ちは、元気な活動の原動力です。

「歩く」こと1つとっても、口の健康が土台になっていることがわかります。

口の健康が大事になった背景

昔は、口腔の健康管理に関心が高かったとは言えない状態だったようです。
高齢者に生じる肺炎では、誤嚥によるものが少なくありませんでした。
さまざまな要因が考えられたものの、誤嚥性の肺炎には「口の環境の悪さ」と「嚥下能力の低下」が示唆されるようになったのです。

そして口の健康が見直されるようになりました。
近年では、「高齢者の口の健康を保ち、年齢を重ねてもお口から食べられるようにしよう」というテーマのもと、社会的な関心の高さにつながったのです。

身近なところでは、ニュースや新聞でも口の運動や、口のケアなどの口にまつわる健康テーマが取り上げられていて、見聞きした経験のある方は多いのではないでしょうか?

介護保険の分野でも同様に、口の衛生や、嚥下能力を保ち、または良くするための取り組みが導入されるようになってきました。

元気なうちからコツコツと

高齢になると、ちょっとした体調不良でガタガガタと体力が落ちて歩く力が落ちてしまうことが珍しくありません。
一度、衰えてしまった体力や気力は戻しにくく活動性が低下したままになってしまうこともあります。

口に関しても同じことが言えます。
高齢になると、加齢変化によって歯肉や歯の状態、口腔内の衛生さを保つ力も弱くなりがちです。
しかし、口のケアに関してはどうしても後回してしてしまう人もいて、歯科受診も「今はまだ大丈夫」と先延ばしにしてしまうことも多いでしょう。
そして、気が付いた時にはトラブルが増えてしまったり、口の筋力がだいぶ弱くなってしまうなど困りごとが深刻化してしまうのです。

特に、要介護の高齢者ではこの衰えのペースが早いため注意が必要でしょう。

ここで大事なのは、口腔機能が低下してしまう前に、口腔トラブルが悪化する前に普段からコツコツとお手入れすることです。

加齢によって嚥下や口腔内の環境変化があらわれます。
それは止めることができません。
しかし、早期から口腔ケアをすることで、健康の土台がぐらつくのを遅くしたり防いだりできるのです。

知れば納得!口のお手入れの効果

介護が必要で体を思うように動かせなくなってきても、口の健康が元気さを支えることができます。紹介しますね。

全身の健康状態に良い影響がある!

口は食べ物や空気の入り口です。
ここをきれいに保つことで、風邪や誤嚥性の肺炎の予防にもつながると言われています。

美味しく楽しく食べられる

しっかり噛むことができると、食事も美味しく感じるものですよね。
そして、何より食事を楽しいと感じることができます。

栄養は、免疫や体力に直結するので、美味しく食べられる口のコンディションは大切にしたいところです。

脳を刺激することで活性化

口の中に、小さな魚の骨があるととても嫌ですよね。
すぐに違和感を感じると思います。
口はそれだけ敏感な器官です。
敏感なのは、脳の比較的広い場所が働き信号を受け取ることが関係しています。
つまり、口を動かしたり刺激することは、脳の活性にもつながると言えるのです。

介護での口腔ケアの実際

口腔ケアグッズや方法

歯ブラシや口腔ケアスポンジなどの口腔ケアグッズや、やり方についてはレクシルメディア『口腔ケアの手順』『入れ歯の口腔ケア』に詳しく紹介されています。
参考にしてみましょう。

要介護の方への口腔ケアで心がけたいこと

介護ではお一人では困難さを感じる部分を、介護者がサポートします。
口腔ケアも同じです。
歯ブラシの使用や、入れ歯の清掃など一人では時間がかかってしまう、または出来ない部分をお手伝いするようにしましょう。

また、要介護者の方には認知機能の低下によって状況の判断が苦手な場合もあります。
声掛けをしながら進めると安心感につながります。

高齢者では口が乾きやすく、刺激に痛みを感じることもあります。
乾燥していたら、いきなり硬い歯ブラシでゴシゴシせずに、まずは湿らせるところからはじめましょう。

高齢者介護での口腔ケア【加算・資格】

介護施設に入居されている方や、デイケアやデイサービスを利用されている方を対象に、嚥下能力を支える口腔ケアに重点を置く介護報酬の改訂が近年行われてきています。

口腔の健康管理に関係のある加算(※2021年5月現在)

・口腔機能向上加算
・口腔・栄養スクリーニング加算
・口腔衛生管理体制加算

口腔ケアに特化した新しい資格

近年の高齢者をとりまく口の健康や嚥下面のサポート強化の流れに合わせ、新設されました。介護分野で働く介護職員や看護師が対象です。
・介護口腔ケア推進士

まとめ

健康には口の健康管理が大切だという事が分かり、口腔ケアや嚥下能力を保つさまざまな取り組みがはじまっています。
要介護の高齢者の方は、特にお口の環境が変化しやすく日々のお手入れが大切です。
正しい口腔ケアの知識をもち、健康の土台である口の健康管理に役立てましょう。

【参考資料】
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト eヘルスネット 要介護高齢者の口腔ケアhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-08-003.html
東京都保健所 障碍者のための8020生活実践プログラム 要介護高齢者のための口腔ケアマニュアルhttps://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/shikahoken/pamphlet/hokenjosakusei.files/07koukuukcaremanual.pdf
厚生労働省 高齢化に伴い増加する疾患への対応についてhttps://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135467.pdf
一般社団法人 総合健康支援推進協会 https://www.sogo-shien.org/ 
厚生労働省 令和3年度介護報酬改定について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00034.html

  • このエントリーをはてなブックマークに追加