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【介護予防運動指導員】仕事内容や取得方法

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「いくつになっても健康でありたい、自分の力でなるべく住み慣れた場所で生活を続けたい」
誰もが思う願いですね。
そのためには、病気や要介護になる前からの健康づくり、つまり介護予防が大切です。

シニアの方を対象に、筋力トレーニングなどを通じて介護予防を実践するエキスパートが介護予防運動指導員です。この記事では、介護予防の知識と、介護予防運動指導員の仕事と資格取得の方法について紹介していきます。

【目次】
1.高齢者に介護予防が必要な理由
2.介護予防運動指導員とは
3.介護予防運動指導員になるには
4.働き方や活躍の場
5.まとめ

高齢者に介護予防が必要な理由

シニア世代の増加に伴い、健康寿命が注目されるようになってきました。
健康寿命とは、医療や介護の力を使わずに、自分の力で自立した生活をすることを指します。

平均寿命が着目されがちですが、健康寿命をいかに長く保つかが社会的なテーマとなっています。
健康寿命のポイントは、できるだけ医療や介護の手を借りずに住み慣れた地域で生活を少しでも長く続ける「介護予防」の視点です。

病気の治療や、心身の回復だけに重点を置くのではなく、日常生活の活動量を保つこと、そして、外出をして地域の人との交流や集いに参加することが介護予防には不可欠です。

しかし、高齢になると外出頻度や人との交流が減少する傾向にあります。
病院や施設でリハビリテーションを受けても、理学療法士などの専門職のフォローアップはどうしても時間的に限られてしまいます。
ご本人だけでの努力だけでは、介護予防の取り組みが不足してしまうこともあるのです。

そこで、介護サービスや、地域で集う場を提供すること、健康づくりにかかわる人材が重要になってきます。
ご本人へのアプローチはもちろん、ご家族や地域住民の方たちに対しても健康づくりの啓蒙を行う地域づくりも大切です。

こうした介護予防の取り組みには、さまざまな専門職が協働して取り組む必要があります。
介護予防運動指導員は、その一員としての働きが期待される資格です。

高齢者と二人三脚で介護予防に取り組むパートナーが、介護予防運動指導員です。
次に詳しく説明していきます。

介護予防運動指導員とは

介護予防運動指導員とは、高齢者の介護予防サービスを効果的かつ安全に指導するエキスパートです。

運動指導の内容としては、主に筋力向上を目指したトレーニングを取り入れた介護プログラムの立案や、評価をもとにした運動指導を行っていきます。

国家資格や公的資格ではなく民間資格ですが、心身の健康に必要な理論を網羅的に学びことができ、高齢者施設に限らず、様々な場で活躍が期待される社会的なニーズに合致した注目度の高い資格です。

東京都健康長寿医療センターが資格認定を行っています。

介護予防指導士と介護予防運動指導員の違い

介護予防運動指導員と名称が似ている資格に、介護予防指導員があります。
簡単に違いを見ていきましょう。

認定機関

介護予防指導士は、日本介護予防協会が認定をしています。
介護予防運動指導員は、東京都健康長寿医療センターが指定した事業所で、講義・演習を修了すると認定を受けることができます。

特徴の違い

介護予防指導士は栄養や口腔ケア、ストレッチや転倒予防に関する指導を行います。
介護予防運動指導員は、ストレッチや運動指導を行い、要介護の予防と、介護度の重症化を予防します。

資格の取り方

両者ともに、受講に際し、保有資格が定められています。
介護予防指導士は実務経験の有無は問わない傾向にあり、修了にあたって試験はありません。
介護予防運動指導員は、修了試験が必要です。

受講期間

介護予防指導士の研修期間は3日と短期間です。
それに対し、介護予防運動指導員は最長1ヵ月程度であり、受講する機関によってスケジュールに大幅な違いがあります。

介護予防運動指導員になるには

介護予防運動指導員になる大まかな流れは、以下の通りです。

●受講する事業所を探す
●スケジュールや費用など、詳細を確認する
●申し込む
●受講する
●修了試験

受講できる機関

受講機関は、東京都健康長寿医療センター研究所が指定している事業者を確認してから、自分の希望する日程やカリキュラムと照らして合わせ決めましょう。

受講に必要な資格

受講には、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。

●ホームヘルパー2級(※)、初心者研修修了者で2年以上の実務経験がある
●介護職員基礎研修過程修了
●介護支援専門員の資格取得者
●健康運動指導士などの資格取得者
●医療分野の国家資格取得者
●医療分野国家資格の養成校を卒業見込み又は資格取得見込み者
※2012年廃止

受講に必要な資格を持っていない場合

介護の仕事には就いているものの、資格をもっていない場合はホームヘルパー2級または初任者研修修了者で2年以上の実務経験を積むことで介護予防運動指導員を目指せます。

初任者研修終了後に実務経験を積む際の施設選びのポイントは、資格取得に理解があり支援をしていること、介護職員初心者研修の資格手当があること、そして介護予防運動指導員の資格手当があるなどの施設を見極めるのも選択肢の一つでしょう。

講習の内容

高齢者の筋力トレーニングの理論や、実習を通じて手技を学びます。

申し込みの方法と受講費用

申し込みの方法や詳しい日程、費用については講習会を主催する事業者に直接問い合わせて確認が必要です。

働き方や活躍の場

介護予防運動指導員は、以下の場で求められる資格です。

●デイサービス
●デイケア
●高齢者施設
●リハビリテーション機関
●総合病院
●フィットネスクラブ
●スポーツジムなど
●保健センターや公民館での健康体操教室
●シニア向けの民間サロン
●自治体が開催している研修会

介護予防運動指導員を受験するのに必要な資格を見てみると、ほぼ国家資格を元々もっている方を対象としていることが分かります。
そのため、介護予防運動指導員の資格のみで働くというよりは、元々保有している資格の他にスキルやキャリアをアップする目的で受験することが現実的であると言えます。

まとめ

健康寿命や介護予防が重要視されるなか、介護予防運動指導員は時代のニーズに合う注目度の高い資格です。
病院や施設にとどまらず、地域においても認知症予防や健康増進分野での活躍が期待されています。

受講期間は最長で約1ヵ月程度と時間を要し、受講には国家資格を取得している必要があるなど敷居は低くない印象です。
しかし、一度資格を取得するとずっと活かすことができ、元々持っている資格での仕事より更にスキルやキャリアを深めることができます。

今後も、活躍の場は広がっていくことが予想されるため、興味のある方は是非検討しても良いのではないでしょうか。

参考文献・サイト
東京都健康長寿医療センター研究所 

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