介護職には多くの資格がありますが一般的によく知られているのは「ヘルパー」と呼ばれる資格・職種かと思います。
ヘルパーと呼ばれていた資格は介護職員初任者研修・実務者研修という資格に変更になりました。
この記事では、ホームヘルパーと介護職員研修の業務内容や給与面の相違点についてご紹介していきたいと思います。
ヘルパーと介護職員初任者研修の相違点
ヘルパーには3種類の資格がありました。
それぞれ、ホームヘルパー3級・2級・1級です。2013年度以降、2級は初任者研修に変更となりました。
介護現場での仕事内容は大きく分けて「身体介護」「生活援助」の2つに分けることができますが、
身体介護の業務を行うためには、介護の専門知識と技術が必要となり、介護職に関する資格がないと行うことができません。
そのため、専門的な介護業務を行うためにはこの資格が必要になります。
修了試験の有無
ヘルパー2級では修了試験がありませんでしたが、初任者研修では修了試験があります。
この修了試験は知識の確認を行う目的のため、そこまで難しいものではなく、合格率も90%程度になっています。
もし不合格の場合でも、追加試験で合格すれば修了証を交付してもらうことができます。
実習の廃止
ホームヘルパー2級では介護施設で5日間の実習を行っていましたが、この資格では実習が廃止になりました。
しかし厚労省の資料に記載されているように必要があれば実習を行うことも可能です。
受講するスクールによっては実習を取り入れているスクールもあるため、スクール選びの一つとして実習の有無を含めて考えてみるのもおすすめです。
理学療法士の養成校に通っていたときに、臨床実習を経験しましたが、実習に行けるのといけないのとでは、就職してからの知識・技術に差が出るように感じます。
教科書でしか学んでいなかった内容を目の前で実際に学ぶことができる機会は大変貴重です。
実習は大変ですが、行けるならばいくべきだと思います。
スクーリング時間の増加
初任者研修では実習がなくなった分座学の時間が増えています。
しかし、全カリキュラム130時間のうち、最大で40.5時間を通信学習で賄うことができます。
認知症ケア科目の追加
ヘルパー2級ではありませんでしたが、初任者研修では認知症に関する科目が追加されています。
2012年の認知症有病者数は約462万人でしたが、近年、認知症患者数は増加しており、2025年には認知症患者数は675万人にのぼると推計されています。
実際の現場でも認知症の方は多く、認知症に対する理解がないと戸惑う場面も出てきてしまいますので、認知症の理解は必須科目と言えます。
認知症介護基礎研修で学べる内容
2021年度の介護報酬改定で2024年度以降は介護現場で未資格の人が働くことができなくなることが決まりました。
その際に取得しておく資格が認知症介護基礎研修と呼ばれる資格です。
認知症介護基礎研修では認知症の方と関わる上での基本となる知識・技術を学ぶことができます。
これから高齢化がますます進むと5人に1人は認知症であると言われています。
軽度認知障害(MCI)を含めると3人に1人が認知機能の低下があることになります。
認知症の方との接し方を学んでおくことは、これからの時代に必要な内容と言えます。
また、認知症介護基礎研修をきっかけに更なる上位資格を取得することもできます。
ホームヘルパー1級は介護職員実務者研修に変更
2013年度以前にヘルパー1級を取得している方で介護福祉士の資格を取得しようと考えている場合には、改めて実務者研修を修了する必要があります。
ホームヘルパー1級取得者が介護職員実務者研修を受講する
すでにヘルパー1級を取得している方で、介護福祉士の資格取得のために実務者研修を受講する場合には免除となる科目が多く用意されています。
また、それに伴い受講料も大幅に割引されているため、効率的に実務者研修を受講することができます。
給与面の違い
ヘルパーと介護職員研修修了者で給与面に違いはありませんが、初任者研修・実務者研修修了者では給与が若干異なります。
実務者研修の方が修了まで時間がかかる分、給与も高くなっています。
給与の目安
介護福祉士 |
307,100円 |
初任者研修 |
276,450円 |
実務者研修 |
285,180円 |
未資格 |
258,540円 |
介護職員初任者研修修了後のキャリアアップ
介護職員初任者研修は介護職に就く際に一番最初に取得することが多い資格です。
初任者研修を修了後には実務者研修の資格を修了することをおすすめします。
介護福祉士について
将来的には介護福祉士の資格を取得したい、と考えている方もいるかと思います。
介護福祉士になるためには3つの方法があります。
介護福祉士の合格率は70%代であり、そこまで難易度の高い試験ではありません。
実務経験ルート
介護現場で3年以上かつ540日以上働き、実務者研修を修了している場合に受験資格を得ることができます。
勤務形態に規定はないので、アルバイトや派遣などで働いていた日数もカウントされます。
すでに社会人として働いている方はこの方法が一般的です。
また、養成施設などには通わずにお給料をもらいながら、受験資格を得ることができるので、リーズナブルです。
福祉系高校ルート
高校の中には福祉科や介護福祉コースなどを科がある高校もあります。
このような高校を卒業することで介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。
また、福祉系特例高校では高校卒業後に実務経験を9ヶ月以上積むことで受験資格を得ることができます。
養成施設ルート
養成施設とは厚労省が認可している大学や短大、専門学校を指します。
普通科高校の卒業生は2年以上、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかの卒業生は1年以上通えば介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができるので、最短で介護福祉士になれるルートとなっています。
まとめ
この記事では、ホームヘルパーと介護職員研修の相違点についてご紹介しました。
2013年度からは、初任者研修と実務者研修に変更となりましたが、業務内容に大きな変更はありません。
現在は未資格でも介護現場で働くことはできます。
また夜勤もあることや国をあげて介護職員の人材確保に努めていることから、給与は高めの設定になっています。
しかし、専門職として現場に出るのであれば、未資格ではなく何かしらの資格を有していた方が仕事のやりがいを感じることができます。