加齢に伴い認知機能をはじめとした、脳の機能は低下していきます。
脳の機能は筋肉や持久力などと同じで、使わなければさらに衰えていきます。
脳の機能が低下していくと、もの忘れが多くなったり、認知症を発症する可能性もあります。
しかし、最近の研究で脳トレは脳の機能を維持・向上させることがわかっています。
この記事では、脳の機能を維持・向上させるためにタブレットを使って脳トレを行っていく方法をご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
認知機能の維持には前頭前野が大切
前頭前野は脳の前に位置している部位で、認知機能の中枢の役割を果たしています。
認知機能とは、理解・判断・論理などの知的既往を指しており、心理学的には知覚・判断・思想・推論・決定・記憶・言語理解なといったさまざまな要素が含まれています。
脳機能を高める一つの方法に運動が挙げられていますが、運動を行うことによって、脳血流量が高まり、脳機能が高まると考えられています。
前頭前野の機能
前頭前野の機能は、
- 思考
- 決断
- 想像
- 計画
などに分けることができます。
そのため、こういった機能をトレーニングすることで認知機能を維持・向上させることができ、認知症予防につながると考えられます。
おすすめアプリ
前頭前野の機能をトレーニングすることができるアプリや認知症予防に効果が期待できるアプリはたくさんあります。
その中からいくつか紹介をしていきたいと思います。
暗算トレーニング・計算で脳トレ
四則演算を暗算で計算していく単純な計算問題です。
アプリを使えば問題用紙を印刷する手間もなく、手軽に行うことができます。
このアプリでは難易度を4段階で調整することができるため、様々な認知機能の方におすすめです。
みんなの脳トレ~脳年齢がわかる脳トレ、脳の若返りドリル~
このアプリは「脳トレ」のためのシンプルなミニゲームがたくさん入っています。
どのミニゲームも簡単な操作で遊べ、1分程度で遊び終わるものばかりです。
6つのミニゲームではそれぞれ観察力、判断力、記憶力、反応力、計算力などが満遍なくトレーニングすることができるようになっています。
パズルアプリ
パズルアプリはどこにどのブロックを置いていけば良いのか?
効率よくブロックを消していくためにはどうしたら良いのか?
を考えるため、前頭前野の働きを促す効果を期待できます。
パズルアプリは豊富に用意されているため、いくつかインストールしてみて気に入ったものを続けると良いでしょう。
脳にいいアプリ
脳にいいアプリは無料で利用することができます。
このアプリは近年の脳科学が脳の健康維持に有効と示す活動を楽しく行うことができるアプリです。
特に認知症予防に力を入れており、認知症予防には以下の5つの要素が重要とされています。
- 運動
- 食事
- 脳刺激
- ストレス緩和
- 社会参加
脳にいいアプリはこの5つの要素を全て組み込んでおり、認知症予防効果が期待できます。
Dancing Line
こちらのアプリは音楽を使ったリズムゲームです。
リズムゲームは「太鼓の達人」などが有名ですが、このアプリはもっとシンプルなゲームです。
聞こえてくる音楽のリズムに合わせて指先でスマホの画面をタップすると、「道」が曲がり、くねくねと自動で道の先が作られていきます。
音楽(曲)と、「道」の進む方向がリンクしているので、「見て、反応する」だけではなく「耳で聴いて、反応する」ことが必要になってきます。
曲はどれも美しいゲームのオリジナル作品。聴いたことがない曲だから…と難しそうに思われるかもしれませんが、なんどもやっていると少しずつ「どういう風にすればいいか」覚えられます。
まさに「反応速度を鍛える」ゲームと言えるでしょう。慣れてくると難しいステージにもチャレンジできます。
タブレットで脳トレアプリを活用することで認知機能の改善が認められたと報告もされているため、タブレットを使用することができる場合には、ぜひタブレットを活用してみてください。
また、軽度認知障害(MCI)の予防にもアプリなどの認知機能を高めるトレーニングと運動の両方を取り入れることで、効果があることが報告されています。
MCIとは?
軽度認知障害(MCI)と呼ばれる時期は認知症発症の前段階であり、認知症ではないものの、いくつかの認知機能低下が認められ発症リスクの高まった時期とされています。
MCIの状態を放置しておくと半数は5年以内にアルツハイマー型認知症を発症することが報告されており、MCIの時期に認知症の発症遅延あるいは、発症抑制に取り組む必要があります。
国立長寿医療研究センターでは、MCI高齢者を対象として、有酸素運動に加え認知機能を活性化させるような取り組み(多重課題)を有する運動によって認知機能低下の抑制に効果があるかどうかを検討しています。
その結果、65歳以上の高齢者を対象にランダム化比較試験ではMCI高齢者の認知機能向上に有効であったと報告しています。
また、特にアルツハイマー病へ移行する危険性が高い健忘型MCI高齢者の全般的な認知機能の保持や記憶能力の向上が、記憶課題を含む運動トレーニングによって向上したことは、認知症予防のために重要な効果と考えられるとも報告しています。
そのため、「高齢者を対象にした運動プログラム」を参考に運動負荷を決めつつ、運動を行っていくことも大切だと言えます。
MCIの主な症状
- 少し前に聞いたことを忘れて何度も確認を繰り返す
- 世間を騒がせた最近の大きなニュースの内容の記憶があいまい
- 数週間前の特別なイベントの内容があいまい(誰の結婚式、どこで開催されたなど)
- 少し前のことでも忘れてしまうことがよくある
ただし、いずれの症状を呈していても、一人で生活を営むことができるため発見されにくいです。
そのため、当事者本人はもちろん家族やその周りの人も軽度認知障害に関する知識を持つ、早期発見・早期治療を行っていくことが大切になります。
まとめ
この記事では、脳の機能を維持・向上させるためにタブレットを使って脳トレを行っていく方法をご紹介しました。
2012年の段階で、認知症患者数は462万人、MCI状態の高齢者は400万人と報告されています。
2025年になるとさらに増加し、5人に1人は認知症を発症するとも言われています。
少しでも発症を遅らせ、抑制することが大切になります。
そのためにも脳トレ+運動を習慣的に行っていくことが重要です。
運動習慣がある人は日本人口の約3割程度とも言われています。
これまで運動習慣がなかった方は、今日から少しずつ運動を取り入れていけると良いですね。
参考文献