スキル

口腔ケアスポンジを使いこなすコツ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護の口腔ケアでもよく使用されている口腔ケアスポンジ。口腔ケアスポンジのメリットと、サイズや形状などの種類についても紹介します。口腔ケアスポンジの使い方と注意点も詳しく解説!効率の良い口腔ケアに役立つ内容です。

【目次】
1.口腔ケアスポンジのメリット
2.口腔ケアスポンジの種類
3.口腔ケアスポンジの使い方
4.まとめ

口腔ケアスポンジのメリット

口腔ケアスポンジは、棒の先にスポンジがついたブラシです。歯がない場合や、乾燥、口腔内の粘膜が弱っている場合でもやさしく汚れを取り除くことができます。

口腔ケアスポンジは、自分で口腔ケアをすることが難しく介助が必要な利用者さんに特に向いています。

柄の先にやわらかいスポンジがついている形状のおかげで、粘膜を傷めにくく頬と奥歯の間にも届くのでおすすめです。

ずっと口を開けているのが難しくても、効率のよい口腔ケアを実施するのに役立ちます。

口腔ケアスポンジの種類

サイズ

口の大きさや用途に合わせられるよう、サイズにも種類があります。口を開きにくい場合や、細かい場所の掃除には小さめのスポンジを選ぶと良いでしょう。

柄の材質

噛んでしまう場合にはプラスチックより紙の材質を選び、柄の長いタイプを選ぶと便利です。利用者さんの歯の保護と、介助者の安全につながります。

紙の材質の柄では、水分を含み折れやすくなります。プラスチックでは耐久性があり、しなりがあるため適度な圧を加えやすくなります。

形状

スポンジの表面がフラットな形状は、細部の汚れの除去や湿潤に向いています。ギザギザなタイプは、溝で汚れをからめとりやすい形状です。

価格

消耗品である口腔ケア用品は100均でも販売されていますが、口腔ケアスポンジは販売されていることが少ないようです。

インターネットではさまざまな価格帯から、選ぶことができます。また、店頭で購入したい場合は、ドラッグストアや介護用品売り場でも購入が可能です。

口腔ケアスポンジの使い方

基本的な口腔ケアは以下の手順ですすめると効率よくできます。

【基本の口腔ケアの手順】
1.保湿
2.ブラッシング
3.粘膜清掃
4.汚れの回収

口腔ケアスポンジは、保湿、粘膜清掃、汚れの回収をする際に役立つ口腔ケアグッズです。最初に保湿をすることで、汚れが軟化して、そのあとの粘膜清掃で汚れを取り除きやすくなります。時間の短縮や、痛み、出血の軽減にもつながる大事なポイントです。

【基本の使い方】
・水に浸した後、絞り水気を切って使う
・拭く方向は、口の奥から手前に使う
・汚れが付着したら、コップにある水で洗い綺麗にしてから使う
・口腔内の汚れは、軸を回転させるとからめとりやすい
・乾燥して固まった汚れ、乾燥した粘膜に対する保湿は、スポンジに少し圧を加え押し当てる。
・乾燥が強い場合は、ササっと拭くだけでは保湿になりにくい。

粘膜清掃の場所

歯だけではなく、口腔粘膜にも汚れや雑菌が付着しやすく清掃が重要です。粘膜は硬い歯ブラシでは傷がつきやすく痛みも伴うため、やさしく接触できる口腔ケアスポンジの使用がおすすめです。

【粘膜清掃をする場所】
・歯と唇の間
・頬の裏の粘膜
・舌の上
・上あご
・舌の裏

特に、頬の裏や舌の裏などは見にくいですが、やわらかく動きやすい粘膜部分は汚れが残りやすいので気を付けましょう。

口腔ケアスポンジの注意点

交換頻度

使用済みの口腔ケアスポンジは、汚れを落として綺麗に見えても雑菌でいっぱいです。何回も使いまわさず、1回の使用で捨てるようにします。もちろん、他の利用者さんと共有は、やめましょう。

汚れたまま使い続けない

口腔ケアをスタートしてから終えるまで、一度もスポンジを洗わないで使わないようにしましょう。汚れが付着したままの使用は、雑菌を塗りつけ口の中にばらまいていることになります。コップに入れた水でこまめに洗い流しましょう。

洗い流せない汚れは、そのまま使用せずスポンジを替え新しいものを使うのがおすすめです。

また、雑菌は目で見えません。見た目でスポンジに汚れがついていなくても、口腔ケア中は適宜、スポンジを洗うようにしましょう。

乾いたまま使わない

乾いた口腔ケアスポンジで、舌の上や上あごを撫でると刺激が強く強い違和感があります。気持ちの良いものではありません。

スポンジを濡らすことで、不快感を軽減できるので、水で湿らせてから使用しましょう。

唇の裏は中央でいったん外す

上唇と下唇の裏には『小帯」という筋(すじ)のようなヒダがあります。唇を指でめくってみると、歯ぐきに向かってヒダがあるのが確認できます。

唇の裏と歯ぐきの間は汚れが残りやすく、スポンジでの粘膜清掃をしっかり実施したい場所です。唇裏の粘膜清掃では、小帯がある中央でいったんスポンジブラシを抜きましょう。小帯の部分をスポンジで押すと痛みがでてしまうため、配慮が必要です。

臥位では喉の奥に水分や汚れを落とさないようにする

臥位(寝た姿勢)では、水分や唾液の誤嚥に注意をします。横向きに慣れない場合は、口の中にたまった水分や唾液を吸引しながら口腔ケアを行うのが望ましいでしょう。

乾燥した痰は保湿で軟化させた後に除去します。その際、奥に向かってスポンジを動かしてしまうと喉に落としてしまう可能性があり危険です。スポンジで固まった痰をつかんだら、唇に向かって動かしましょう。

敏感な場所はあとにする

口の奥の方や、舌の奥の方からはじめてしまうと嘔吐反射が出てしまうことがあります。まずは唇や、唇の周りからゆっくり触れて刺激に慣れてから奥の方にすすめましょう。
また、頬の裏、舌の上など、敏感な場所から急にはじめてしまうと驚いてしまうことがあります。特に認知症によって状況の理解に時間を要する場合は、配慮が必要です。頬のマッサージや、口唇にやさしく触れてから始めるようにしましょう。

まとめ

「保湿」「粘膜清掃」「汚れの回収」で活用できる口腔ケアスポンジ。粘膜を傷めず、効率的に口腔ケアを行えるメリットがあります。口の大きさや、開口の度合いによってスポンジや柄の種類を選びましょう。

口腔ケアスポンジを使うときはメリットを最大限活かせるように、注意点に配慮しながら使用します。使いまわしせず、1回ごとに捨てるなど衛生面への配慮も大切です。

【参考資料】
アサヒグループ食品株式会社:口腔ケアハンドブック
日医工:摂食嚥下障害Q&Ahttps://www.nichiiko.co.jp/medicine/swallow/swallow13.php
東京都保健所:要介護高齢者のための口腔ケアマニュアル
モノタロウ:口腔スポンジの種類と選び方https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/oralsponge/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加