脳トレにはさまざまな種類がありますが、その中でもおすすめしたいのがパズルを使った脳トレです。
パズルを使うことで、細かい手の動きが要求され、さらに完成をイメージしながら作成していくため、より一層脳トレの効果が期待できます。
この記事では、パズルを使った脳トレや脳トレの効果についてご紹介していきます。
パズルを使った脳トレ
ジグソーパズルや工作パズルなど、パズルを使った脳トレはいくつかあります。
パズルを使った脳トレは一人で手軽に行うことができますし、手を使った細かい作業を行うため、脳トレにはおすすめです。
パズルが脳トレにおすすめな理由
クロスワードパズルやジグソーパズル、数独、工作パズルなどさまざまなパズルがありますが、いずれのパズルでも脳トレの効果が期待できるため、パズルは脳トレにおすすめです。
パズルが脳トレにおすすめな理由は以下の4点です。
- 認知症予防
- レベルに合わせて難易度調整可能
- 手を使う細かい作業
- 細かい作業なので集中力が必要とされる
それぞれ一つずつ解説をしていきます。
1.認知症予防
パズルは、どこにどのピースがハマり、どういった完成形になるのかなどをイメージしながら作成をしていきます。
また色の識別や図形の認識、記憶などさまざまな能力を使い、見通しを立てながら作業を行うことため、脳の活性化が期待できます。
パズルを使ったレクリエーションを「認知刺激療法」とも言います。
認知刺激療法を用いた研究では、認知機能に効果があり、認知刺激療法終了後1〜3ヶ月程度まで効果は継続した。
と報告されています。
2.レベルに合わせて難易度調整可能
パズルを使った脳トレでは、利用者さんに合わせてピースの大きさや形状、絵柄などによって難易度を調整することができます。
ジグソーパズルでは300ピースがもっとも難易度が低く、3000ピースになるともっとも難易度が高まります。
また、ピースの数が増えるにつれてピースの大きさも小さく・絵柄も複雑になっていきます。
風景のジグソーパズルは境界が曖昧で同じピース数でも難易度が高くなります。
介護施設などでジグソーパズルを行うときは、介護職員が利用者さんの能力に合わせて選ぶのがいいかと思います。
3.手を使う細かい作業
脳には手足に対応した領域が存在しています。
この領域は「感覚」と「運動」の2種類が存在しています。
ホムンクルスの小人で表されているのは、脳において手の領域が占める割合がかなり多いということです。
これは感覚も運動もどちらも、手がかなりの割合を占めています。
つまり、手をたくさん動かせば動かすほど脳に刺激が送られ、脳の活性化につながるということになります。
そのため、手をたくさん動かすようなパズルが脳トレにおすすめなのです。
4.細かい作業なので集中力が必要とされる
手の機能として必要とされるのは「巧緻性」と呼ばれる機能です。
針に糸を通すことや折り紙を折る、靴紐を結ぶなど、細かい作業を行う時に巧緻性は必要とされます。
細かい作業であればあるほど、作業に集中することができます。
また「健常者における手指巧緻動作と認知機能の関連」という報告があります。
この報告の中では、巧緻性動作を必要とする運動を行なった際、判断や注意・集中力、運動コントロールなどの中枢である前頭前野機能の活動が必要とされる。と報告しています。
手指を用いた作業は脳活動に大きな影響を与え、集中力なども向上することが考えられます。
脳トレの効果
これまで多くの研究者によって脳トレの効果は調べられていきました。
過去の報告をご紹介しながら、脳トレの効果について解説をしていきます。
脳トレの結果、変化なし
イギリスで行われた研究では、11歳で集団認知テストを受けた498名を対象とし、対象者が64歳のころに調査を開始し、以後15年間・5回にわたり記憶力と処理能力のテストを行いました。
その結果、パズル問題を解いていても個人の認知機能低下を防ぐことができない。と報告しています。
しかし、その一方で、知的刺激の高い活動を日常的に繰り返している人は、高齢になってもある程度、認知機能は活発なこともわかっています。
脳トレゲームで記憶力に関する正答率が17%低下する
フランスで行われた研究では、脳トレに家庭用ゲーム機を使用し、67名の10歳児を対象に調査を行っています。
その結果、家庭用ゲーム機を使って脳トレを行った群では紙と鉛筆を使って脳トレを行なったグループに比べて、記憶力に関する問題の正答率が17%低下した、と報告されています。
しかし、その後東北大学による「Brain training game boosts executive functions, working memory and processing speed in the young adults: a randomized controlled trial」では、認知機能トレーニングに対して有効である、と報告がされました。
最新の研究でも脳トレ効果が報告されている
最新の脳トレ効果について、2018年の老年精神医学の雑誌である「International Journal of Geriatric Psychiatry」で報告がされています。
この研究ではイギリス人の方を対象としています。
この研究によると、クロスワードパズルや数独などを定期的に行っている50歳以上の人は、より良い脳機能を持っていると報告されています。
対象者数は19,000人とかなりの大人数で、どのくらいの頻度で言葉と数字のパズルを行っているのかを聞き取り、認知機能のテストを実施しました。
その結果、定期的にパズルなどに取り組んでいる人ほど、注意力・推論力・記憶力を評価する能力が優れていたとしています。
パズルなどを取り組んでいる人は取り組んでいない人に比べて、平均して8歳程度若い脳機能を持っていることが報告されています。
何もしなければ人の脳機能は20代後半をピークに低下していくことも報告がされています。
しかしパズルなどの脳トレを行うことで、脳機能の維持・向上を図ることができます。
まとめ
この記事ではパズルを使った脳トレや脳トレの効果についてご紹介しました。
最新の論文では脳トレが脳機能に良い影響を与えることが報告されました。
認知症は誰もが発症しうる可能性を秘めています。
手軽に行える脳トレを行なって、少しでも脳機能を維持・向上させておくことが大切だと思います。
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ぜひそちらも活用してみてください。
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参考文献
認知症患者の認知機能を改善する認知刺激
Roger T et al.Intellectual engagement and cognitive ability in later life (the “use it or lose it” conjecture): longitudinal, prospective study.The BMJ;2018:363.
Rui N et al.Brain Training Game Boosts Executive Functions, Working Memory and Processing Speed in the Young Adults: A Randomized Controlled Trial.Plos one;2013.