老健やデイサービスなどではレクが頻繁に行われています。
介護施設で働き始めて最初に悩むのが、レクの内容かと思います。
実際、私も病院と老健でレクを担当してきましたが、どんな内容のレクを行うか考えるのが大変でした。
そこでこの記事では、高齢者の方でも簡単に行うことができるおすすめのレクをいくつか紹介していきたいと思います。
高齢者でも簡単にできるレク
レクは高齢者の方の身体機能や脳機能を活性化させるために必要な活動です。
ここからは高齢者の方でも簡単にできるおすすめのレクをご紹介していきます。
イントロドン
高齢者の方が馴染みのある音楽でイントロドンを行うと盛り上がるのでおすすめです。
3〜4人程度のチーム制にして行うことで、他者と交流する機会が生まれます。
また音楽を使ったレクは、音楽を使わないレクよりも多くのメリットがあります。
ぜひ音楽を使うことができる介護施設ではイントロドンを試してみましょう。
音楽療法の効果
音楽を使った治療法の一つに音楽療法というものがあります。
音楽療法は不安や痛みの軽減、精神的な安定、自発性・活動性の促進、脳の活性化、身体の運動性向上などさまざまな効果を有しています。
私たちも音楽に救われたことがあるのではないでしょうか?
また音楽を聴くことで気持ちが落ち着き、気分が晴れることを経験したことがあるのではないでしょうか?
そのような音楽の特性を活かしているのが、音楽療法になっています。
ストローで吹き矢
少し太めのストローと細めのストローの2種類を用意して、吹き矢を作ります。
細いストローが矢になります。
壁には点数を書いた的を用意して、そこに向かって矢を吹くことで、簡単に吹き矢を行うことができます。
矢を吹くために、お腹に力を入れる必要があるため、座った状態でも腹筋の運動になり、高齢者の方にはおすすめのレクです。
作り方
- 太さの異なるストローを用意する。
- 細いストローを4〜5cm程度の長さに切り、片端を1cm程度に折り曲げ、テープで固定する。
- 折り曲げたのと反対側を太いストローに差し込む。
- 的に向かって吹く。
ボッチャ
障害者スポーツの一つでもあるボッチャをレク風にアレンジしていきます。
正式なボッチャの道具は結構な値段がするので、お手玉で代用しましょう。
3〜5m程度離れて、床に点数票を置いておきます。
そこに向かってお手玉を投げていきましょう。
中心に近ければ近いほど点数を高くする、
もっとも遠いところを高得点にする、などアレンジ方法はさまざまです。
もしお手玉がたくさんない場合には、新聞紙を丸めてガムテープで補強したものを使いましょう。
新聞紙があるだけ作れますし、手軽に作ることができるのでおすすめです。
ボッチャのアレンジ
ボッチャは手で投げて行う競技ですが、足で蹴るのもOKです。
足で行う場合には、新聞紙で丸めたボールを使うのがおすすめ。
床に点数票を置いておき、2〜3m離れた位置からボールを蹴ります。
手で投げて行うボッチャに比べると難易度が高くなりますが、蹴る場合には得点を1.1倍〜1.2倍などとアレンジすると盛り上がること間違いなしです。
新聞紙やぶり
パンチやキックで新聞紙を破る簡単な体を使ったレクです。
パンチでは上肢の、キックでは下肢の筋力維持・向上効果が期待できます。
高齢者の方のストレス発散にはもってこいです。
介護職員が新聞紙を半分に切ったものをピンと張って前に立つ。
利用者さんは新聞紙の真ん中に向かってパンチを打つ。
立ってできる方は立ってパンチ・キックをしてみましょう。
※キックをするときには、特に転倒に注意をしておきましょう。
介護職員が2人以上参加できる場合には、一人は新聞紙をもち、もう一人は利用者さんが転びそうになったときにすぐに支えられるように、近くで待機しておくと安心です。
高齢者がレクを楽しむためのポイント
高齢者の方がレクを楽しむには以下の4つのポイントがあります。
- アイスブレイク
- 介護職員の失敗例で説明を行う
- 合いの手を入れる
- 他者との交流を意識する
アイスブレイク
レクでは、普段話をしない利用者さん同士が同じグループになったり、席が隣になったりします。
ちょっとしたスキンシップがあればお互いの距離をグッと近づけることができます。
ミニゲームを取り入れたり、自己紹介後に握手をしたり、簡単なことを行うだけで大丈夫です。
たったそれだけで場の空気が和み、レクを行いやすくなります。
また介護職員の自己紹介も大切です。
レクでは、先頭に立ってレクを説明する介護職員がいるかと思います。
この時の自己紹介で利用者さんに笑ってもらえるかどうかで、その後のレクの盛り上がりが変わってきます。
介護職員の失敗例で説明をする
レクを行うときには、介護職員が見本を見せながら説明を行うことが多いかと思います。
そんなときに介護職員が失敗をすれば、利用者さんの笑いを得ることができますし、利用者さんは「失敗してもいいんだ」というふうに感じてくれます。
小さくてもいいので、笑いが起きることでその場の雰囲気が和み、レクを進めやすくなります。
合いの手を入れる
レクが始まってからは合いの手を必ず入れましょう。
周囲にいる介護職員が率先して合いの手を入れることで、利用者さんはより一層楽しむことができます。
合いの手を入れるときには、鼓舞する合いの手や、利用者さんを褒める合いの手など様々なものを取り入れていきましょう。
他者との交流を意識する
レクを行う際にはなるべく利用者さん同士の交流が生まれるように意識していきましょう。
元々レクは「遊び」に近いものでした。
それが徐々に他者との交流を前提に発展を遂げてきました。
他者との交流が生まれるようになることで、生きがいを再発見し、自身のQOLを高める効果も期待できます。
そのためにもアイスブレイクが重要になってきます。
アイスブレイクで盛り上がると、その後の利用者さん同士のコミュニケーションが自然に生まれてきます。
またチーム制でレクを行うことで他者との交流が生まれやすくなるのでおすすめです。
まとめ
この記事では、高齢者の方でも簡単に行うことができるおすすめのレクと、高齢者の方がレクを楽しむためのポイントをいくつか紹介しました。
レクの効果は脳の活性化とQOL向上が目的です。
ちょっと難しいかな?ちょっと大変かな?という程度の負荷がかかる運動や頭の体操などを行うことでさまざまな効果が期待できます。
レクシルには今回紹介したレク以外にも頭の体操やカラオケなどが用意されています。
そちらもぜひ参考にしてみてください。
参考文献
松本 耕輔,澤田 辰徳. 認知症予防におけるわが国の作業療法効果の文献探索的研究. 日本臨床作業療法研究 No.5:47−54,2018.