介護予防にはレクリエーションが有効です。
認知症の方でも実施しやすい「道具を使わないレクリエーション」と、車いすでも参加できる「座ったままできるレクリエーション」を紹介しますので、さまざまな方に利用していただける内容になっています。
また、レクリエーションを行う上で心がけたい注意事項も詳しく説明しますので是非ご活用ください。
【目次】
1.レクリエーション7つのメリット
2.レクリエーションの進行で心がけたいこと
3.口腔レクリエーション
4.脳と体の活性化レクリエーション
5.まとめ
レクリエーション7つのメリット
図1
レクリエーションはリハビリスタッフや介護職とマンツーマンで行う「個別レクリエーション」と、複数人で行う「集団レクリエーション」があります。
図1は集団レクリエーションのメリットをまとめたものですが、個別レクリエーションに比べて複数の人と一緒に行うからこそのメリットがあるのが特徴です。
レクリエーションの進行で心がけたいこと
安全第一
見守り
個別で行う体操に比べて、人数が増える分、一人一人に対する注意が徹底しづらいことがあります。
参加人数が多い時、スタッフ人数が一時的に少ない時など、全ての方をしっかり見守るというのが厳しい時もあると思います。
前日や当日の様子(睡眠、体調)や、転倒転落のリスクが高い参加者を事前にチェックしておきましょう。
そのうえで、見守りを重点的にする方の選定、グループ分けのメンバー、レクリエーションの内容などを考えるとより安心ですね。
自分一人だけで全員の見守りを同時にすることはできません。
レクリエーション前に確保する時間は少ないかもしれませんが、可能な限りスタッフ間で情報共有して安全対策を行いましょう。
無理をせず中止することも大切
運動量や血圧、手足を動かす可動範囲などに医師や看護師から指示がある場合は従うようにしましょう。
指示がない場合でも、疲労度や、ボンヤリ感、傾眠、血圧、痛みなどを認めた場合は無理をしないで休むか、中止するのが安全な場合もあります。
水分補給
高齢になると、温度変化や喉の渇きを感じにくい方もいます。
また、体温調整もうまくいかない場合もあるようです。
レクリエーション前から終わったあとまで、小まめに水分補給をするようにしましょう。(水分摂取量の制限がある場合を除きます)
続けることが大切
元気な体や、介護度の重度化を予防するための一環としてレクリエーションは有効です。
身体や脳の機能維持や、低下予防には、一時的な取り組みではなく継続することが重要になります。
難しすぎる、時間がかかりすぎる、大変すぎる、などの内容では続きません。
声掛け
レクリエーションでの進行役は、苦手と思うスタッフの方もいると思います。
そして、進行役以外でもレクリエーション中の声掛けをどのようにすべきか悩んでいる方もいるでしょう。
声の高さ
声の高さですが、高齢になると耳の中の神経細胞が減り高音域が聞こえにくくなると言われています。そのため、高い声で話すよりは普通~少し低いトーンで話したほうが聞こえやすくなります。声は小さくしないように、大きめの声にしましょう。
話す速さ
話す速さは、早口は避けましょう。過剰にゆっくりにする必要はありませんが、内容が伝わりやすいように大きな声ではっきりと話すようにしましょう。特に、認知症の方へは配慮が必要です。
聞こえや言葉の理解にハンディキャップのある人へも分かるようにする工夫
参加者の中に、難聴や失語症、認知症の方がいた場合は、話す声だけではなく、口の動きや表情、ジェスチャー、絵なども使ってルール説明や、これから行うことを伝えると、より理解しやすいのでおすすめです。
年長者への話し方のマナー
参加者は年齢を重ねた人生の先輩です。敬う気持ちを大切にした上で言葉を選びましょう。
口腔レクリエーション
【顔の表情でじゃんけんぽん】
顔の表情を変えて「ぐー」「チョキ」「パー」を表現します。
グー:目と口をぎゅっと閉じて、思いっきりしかめっ面をします
チョキ:舌をしっかり出します
パー:目と口をしっかり開きます
「あと出しじゃんけん」にすると、一層難しくなるのでチャレンジできる場合は是非、取り入れてみてください。
脳と体の活性化レクリエーション
【座って行う足踏み運動】
①椅子に座ります。ずりおち防止のために、浅く座るのはやめておきましょう。
②まずは、ゆっくり右足、左足を交互にあげます。「右、左」や「1、2、3、4…」など声をかけるとテンポが合いやすくなります。
【足踏みをしながら言葉の連想】
①足踏みをします
②足踏みをしながら、言葉の連想をしていきます。
【言葉の例】
・芸能人の名前
・地名
・動物の名前
・食べ物の名前
【足踏みをしながら暗算をする】
①足踏みをします
②足踏みをしながら、簡単な暗算をします
【暗算の例】
・2を足していく
・100から5を引いていく
【足踏みをしながら脳トレ+両手をあげる】
①足踏みをします
②足踏みをしながら、数字を1~数えます
③決まった数字で、両手をあげます
【例】
・5の倍数
・偶数
【立って足踏み運動】
立って足踏みをしながら、慣れてきたら上記の脳トレを行ってみましょう
【リズムに合わせて肩ポンポン】
①深く腰かけます
②「うさぎとかめ」などテンポのとりやすい曲、馴染みのある曲をうたいながら、リズムにあわせて肩をたたきます
【例】
「もしもし」右手で左肩をポンポン
「かめよ」膝の上
「かめさんよ」左手で右肩をポンポン
【立って足踏み×膝ポンポン】
①「うさぎとかめ」などテンポのとりやすい曲、馴染みのある曲をうたいながら、リズムに合わせて無理のないペースで足踏みをします
②リズムに合わせて膝をやさしく叩きます
【例】
「もしもし」足踏み
「かめよ」膝ポンポン
「かめさんよ」足踏み
【腕を左右交互に曲げながらグーパーをする】
①右手を膝上に、左手は手が胸に来るように肘を曲げます
②交互にします
③慣れてきたら、膝上でパー、胸の前でグーをします
④交互に行い、慣れてきたら少し速めます
まとめ
レクリエーションには「体や脳の活性化」「人との交流」「介護予防」など、さまざまなメリットがあります。
レクリエーションを実施する際は、安全面への注意をはじめ、分かりやすい言い方、自尊心を壊さない声掛けなど配慮してすすめましょう。
健康づくりは日々の積み重ねが大切です。
難易度を調整して、毎日継続しやすい習慣を作っていきましょう。
この記事では、やさしい内容のレクリエーション中心にお話ししてきました。
レクシルのホームページでは、さまざまなレクリエーションが豊富に紹介されています。
現場ですぐに活用できる動画もありますので、是非ご覧ください。