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【認知症の症状】認知症の方を理解するために知っておきたいこと

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認知症の対応のヒントになる、認知症の症状について説明していきます。
中核症状とBPSDと呼ばれる周辺症状も解説!
行動や気持ちに沿った接し方に役立つ内容です。是非ご覧ください。

【目次】

1.認知症は複数の状態の総称
2.「夕飯に食べたものは何だっけ?」は、認知症?
3.代表的な認知症のタイプを知ろう
4.認知症の人の理解に欠かせない「中核症状」と「周辺症状」
5.まとめ

認知症は複数の状態の総称

認知症は、なんらかの要因によって脳の働きが障害されることで生じます。
「認知機能の低下」と、「日常生活の一部または全般に困難さが生じて、社会生活にも影響が出る」こと。
この2つを認める状態を認知症と言います。

「夕飯に食べたものは何だっけ?」は、認知症?

「あら、昨日の夕ご飯、何を食べたかしら?」このように、パッと思い出せいないことは良くあることです。
この状態は認知症でしょうか?

認知症による記憶障害の場合は「夕ご飯をたべたこと自体を忘れている」というように、エピソード自体を忘れているのが特徴です。

認知症と健常の間の「物忘れ」もあります。
MCIという、認知症一歩手前のグレーな状態を指す兆候です。

具体的な兆候としては「興味や関心が薄れてきて、活気が減った」「同じことを何度も話す」「計算ができず、お札だけでいつも会計するようになった」などです。

MCIは、認知症に移行する可能性もあり、生活習慣改善や脳と体の活動を促す初期対応が重要です。
この介入の部分が、デイケアやデイサービスなどで介護スタッフが活躍できるところですね。

代表的な認知症のタイプを知ろう

認知症の方を理解するには「何が原因で困りごとが起きているんだろう?」と推測する視点が役立ちます。
まずは認知症のタイプごとの特性を知っておきましょう。

アルツハイマー型認知症

最も代表的な認知症のタイプです。
「海馬」という記憶を司る脳の器官が損傷されることが多いため、記憶障害をはじめとした変化をみとめるのが特徴です。

脳血管性認知症

脳卒中では、脳の血管の傷や、血管が狭くなることによって生じます。
血管に異常があることで、脳の機能が阻害され認知症を発症します。
働きが弱くなった脳の部分に応じた症状があらわるのが特徴です。

レヴィー小体型認知症

レヴィー小体というタンパクが脳の神経細胞で増殖し、正常な細胞が減少することが原因で引き起こされる認知症。
幻視や、筋肉のこわばりなどのパーキンソン症状があらわれるのが特徴です。

前頭側頭型認知症

前頭葉と側頭葉由来の症状を認めるのが特徴です。
前頭葉や側頭葉は、言語の理解と判断力や言動・感情のコントロールを司る部分です。
そのため、人への配慮や、ルールの遵守などが難しくなり、衝動的な行動をとってしまうこともあります。

認知症の人の理解に欠かせない「中核症状」と「周辺症状」

ここまで認知症のタイプを説明してきましたが、実際の症状は教科書通りに割り切れるものではないことを毎日の介護で実感されていると思います。

認知症の対応の難しいところは、「これをしたら必ず困りごとが解決する」と決まった型をつくることも、「この人で成功したから、他の人でもうまくいく」といった再現性を作ることも難しいところです。

目の前の利用者さんにとって何が一番良いのかを考え介護するのは、やりがいがありながらも大変な面もあることでしょう。

「なぜ、そのような行動をしてしまうのだろう?」といったモヤモヤを、「認知症そのものの症状=中核症状」と「周囲の人や環境の影響による症状=周辺症状」を理解することで解決できる部分もあるかもしれません。

すべて解決しなくても、一部だけでも道が開くだけでもご本人も介護にあたるご家族やスタッフも心のこわばりが解け、それだけでも心が軽くなることもあります。
これから説明する心理面、中核症状、周辺症状のどこかにヒントがあるかもしれません。

まずはご本人も戸惑っていることを知ろう

「何かおかしい」といった変化は、はっきりと言葉で表現できなくともご本人が最も早い段階で感じることでしょう。

以下のような気持ちを抱くことが多いようです。
・不安感
・違和感
・イライラもどかしさ
・混乱
・被害感
・切なさ、孤独感
・自信の喪失
・感情の不安定さ

このような感情は、言葉で整理して伝えることは難しいですよね。
簡単なことではありませんが、気持ちを想像して声のかけ方、サポートの仕方を工夫するだけでもご本人はホッとできるかもしれません。

認知症の中心的な症状

脳の問題によって生じる症状そのものを「中核症状」といいます。

・記憶障害
・見当識障害(場所や日付、人がわからなくなる)
・失語症
・失認症
・実行機能障害
など

認知症の人の対応に欠かせない「周辺症状」への理解

周辺症状とは

中核症状以外の認知症の症状を「周辺症状=BPSD」といいます。
行動や心理面の症状のことを指し、ご本人の性格や生活の環境、人との交流の影響を受けて生じるものです。

・幻覚
・傾眠や不眠
・妄想
・疑う感情
・被害妄想
・誤認
・無気力
・言動の衝動性
・感情の障害
・行動の障害
など

と、聞いても少し難しくて分かりにくいですよね。
具体的な例をつかって、説明していきましょう。

ご本人が感じている世界

例えば、中核症状で「見当識障害」や「失語症」があると、ご本人は以下のように感じるかもしれません。

・ここがどこで、何をする場所か分からない。落ち着かない。
・ゆっくり話してくれないと、何を言われてるのか理解できない

これに対し、周囲の人が早口で話しかけたり、「さっきもやりましたよ」と、いつも説明を省いてしまった場合、どうでしょうか?

うまくいかない、理解されないことが続いて「もういいや、何もしたくない」と感じたり、何を言われてるのか良く分からず戸惑ってしまうかもしれません。

「ゆっくり話す」「場面を切り替えるときは、ご本人が理解できたかを確認してから進める」など少し工夫するだけで不安軽減につながる可能性がありますよね。

これらがすべてではありませんが、中核症状と周辺症状の関係にも着目すると、介護のモヤモヤの解決ヒントになるかもしれません。

まとめ

認知症と一言で言っても、その症状は多彩であり、ご本人の生活環境や性格でも行動や心理面の状態は変わります。
そのため、日内変動や個人差があり、対応をルーチン化化することはできません。
困りごとの解決の糸口をみつける際にも、何より、ご本人や取り巻く人が少しでも楽になるために症状や行動心理面の理解は必要です。
症状に注目しがちな認知症ですが、その方の気持ちを理解することも大切にして、今できることから始めていきましょう。

【参考資料】
「知ることからはじめよう:認知症」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
「BPSDの定義、その症状と発症要因 」認知症ケア研究誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jdcr/2/0/2_1/_pdf/-char/en

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