今後、介護職に就こうと思っている方にとって、求人は気になることかと思います。
また、介護職員実務者研修を修了することで、どういった求人があるのか?給与などにどのような利点があるのか?など気になることが多いかと思います。
この記事では介護職員実務者研修を取得することで得られる利点やどういった求人があるのかご紹介していきたいと思います。
介護職員実務者研修とは?
介護職員実務者研修とは、介護職員初任者研修の上位に位置付けされている公的資格です。
介護職員初任者研修は介護に携わる者が、業務を遂行する上で最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方のプロセスを身につけ、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的として作られました。
実務者研修はその上位資格であるため、より専門的な知識・技術を取得することができます。
受講科目は20科目、規定受講時間数は450時間と定められています。
初任者研修を修了している場合には、9科目130時間が免除になります。
また、介護職唯一の国家資格である介護福祉士の受験資格を得るためには、実務者研修の修了が必要になってきます。
就職の利点は?
実務者研修修了者は後述するサービス提供責任者(サ責)として従事することもできるため、未資格者や初任者研修修了者に比べると求人数が多いです。
実務者研修を修了していることで、給与面で優遇される可能性が多いです。
介護福祉士 | 307,100円 |
初任者研修 | 276,450円 |
実務者研修 | 285,180円 |
未資格 | 258,540円 |
平均金額であるためもう少し振れ幅があるかと思いますが、概ね上記のような差があります。
また、介護職の給与は年々増加傾向です。
介護人材の不足
2025年問題や2035年問題が有名ですが、介護業界では人手不足が深刻です。
そのため介護職の給与は高めに設定されていることが多いです。
厚労省は介護人材の確保に力を入れているため、給与は今後まだ増加していくことが考えられます。
さらに、未資格者である場合には、資格取得後にお祝い金を出してくれる職場もあります。
特に介護福祉士の資格取得には力を入れている施設が多く、「介護福祉士取得を目指すものに対する実務者研修などの受講支援」を実施している施設は全体の67.4%に上ります。
介護福祉士を受験する予定がなくても、今後介護報酬改定に伴いどう変化していくかわかりませんので、実務者研修は修了しておくことをおすすめします。
実務者研修の特徴
実務者研修修了者は、「サービス提供責任者(サ責)」として働くことができます。
訪問介護や介護施設などのサ責として働きたい場合には、実務者研修を修了しておく必要があります。
そのほかにサ責になれる資格は以下の通りです。
- 介護福祉士
- 旧介護職員基礎研修修了者
- 旧1級課程修了者
- 3年以上介護等の業務に従事した初任者研修課程修了者
サービス提供責任者(サ責)とは
サ責の仕事は、訪問介護サービスを利用するご本人が、質の高いサービスを受けられるようにサポートするのが主な仕事です。
介護職員と利用者さんとの調整・利用者さんの心身機能のアセスメント・「訪問介護計画書」の作成・ケアマネとの連携などを行います。
サービス提供責任者の業務
サ責の業務内容は大きく分けると以下の8つになります。
それぞれ詳しくご紹介していきます。
1.訪問介護計画の作成
アセスメントで得た情報とケアプランを基に「訪問介護計画書」を作成します。
訪問介護計画書は、より具体的にケア内容を記載したものとなっており、利用者さんがしっかりとした介護サービスを受けられるように作成していきます。
訪問介護計画書の例
訪問介護計画書には解決すべき課題や短期・長期目標などを記載していきます。
解決すべき課題:自宅で安全に歩きたい
短期目標:屋内歩行の自立、歩行自立でトイレに移動する。など
長期目標:買い物に一人で行けるようになる。
本人・家族の希望:自分のことは自分で行えるようになりたい、転ばないように生活して欲しい。など。
具体的なサービス内容:屋内移動時の環境整備を行い、まずは見守り歩行から始める。
留意点:本人の意思を確認した上で、環境整備を行う。など。
このようなものを記載していくのが訪問介護計画書になります。
2.利用申込みの調整
サービスを利用したいと考えている方からの相談を受け、サービスを利用するのに必要な手続きなどを行います。
3.利用者の状態変化、サービスへの意向の定期的な把握
サービス利用にあたり、利用者さんとそのご家族と面談を行い、聞き取り調査をしていきます。
利用者さんがどういったことを希望しているのか、どういった問題を抱えているのか、家族の要望は?などを聞き取っていきます。
4.居宅介護支援事業者との連携 (サービス担当者会議出席等)
定期的に訪問介護サービスに関係している職種や家族・本人と一緒にサービス担当者会議を開き、介護サービスに関する話し合いを行います。
サ責も会議に出席し、ケアマネが作成したケアプランなどの確認を行い、修正がある場合に修正などを行っていきます。
5.訪問介護員に対しての具体的援助方法の指示及び情報伝達
実際に利用者さんの自宅でサービスを提供する訪問介護員のために具体的な援助方法や指示などをまとめて、書類作成を行います。
6.訪問介護員の業務の実施状況の把握
介護サービスを導入してからの状況を、定期的に訪問介護員から受け、利用者さんの現状把握を行います。
初めて介護サービスを利用する場合には、サ責も訪問介護員と一緒に同行する場合もあります。
7.訪問介護員の業務管理
サ責は定期的に利用者さんの自宅に訪問し、利用者さんの状態に応じたケアや進行度合いを確認・評価します。
また、訪問介護員が急遽休みになった場合には、サ責が代行を行う場合もあります。
8.訪問介護員に対する研修、技術指導等
訪問介護員に対して、知識・技術などの指導を行い、より良い介護サービス提供を目指していきます。
サ責になると、他のスタッフに技術や知識を提供し、スキルアップを図れるようにすることも求められます。
サービス提供責任者の給与
サ責の給与は平均246,373万円となっています。
介護職員全体の平均給与よりもサ責の給与は全体より高いと言えます。
―令和元年度 介護労働実態調査結果について―より
まとめ
この記事では介護職員実務者研修を取得することで得られるメリットやどういった求人があるのかご紹介しました。
実務者研修は受講資格が定められていないこと、給与も高めに設定されていることから取得しておいて損はない資格です。
また、求人数も多く、実務者研修を修了していればサ責として従事することもできるため、メリットは多いです。
最終的には介護福祉士を目指すことができる資格でもあるため、初任者研修は受講せずに実務者研修を受講することで、効率よく介護福祉士の受験資格を得ることができます。
ぜひ介護福祉士の資格取得を目指して、頑張ってみてください。
参考資料
訪問介護におけるサービス提供責任者について
―令和元年度 介護労働実態調査結果について―より
介護人材の確保について