介護施設で働いてみたいと思っても働くには資格が必要になることがあります。
介護に関する資格は数多くありますが、今後介護職に就こうと考えている方にお勧めしたいのは介護職員実務者研修と呼ばれる資格です。
カリキュラムの受講時間は少し長めですが、この資格は年齢や学歴に関係なく取得することができます。
この記事では介護職員実務者研修をはじめとした、介護職に就くための資格の取り方についてご紹介していきます。
介護に関する資格
介護に関する資格は数多くあり、介護職唯一の国家資格である介護福祉士を筆頭に、介護職員実務者研修、介護予防運動指導員などさまざまな種類があります。
そのなかでも介護職員実務者研修は年齢や学歴、受験資格などは問われません。
実務者研修は初任者研修を受講していなくても取得が可能です。
介護施設で勤務する場合には、介護職員初任者研修もしくは介護職員実務者研修のどちらかは取得しておきましょう。
全くの未経験であれば介護職員初任者研修を受講するのも一つの方法だとは思いますが、実務者研修と初任者研修では内容が重なる部分があるため、初任者研修は取得しなくても大丈夫です。
介護職員初任者研修
元々ホームヘルパー2級と呼ばれていた資格が初任者研修に変更になりました。
ホームヘルパー2級では介護施設での5日間の実習がありましたが、初任者研修に変更になってからは実習が廃止となりました。
その分座学の時間が増え、スクーリングも増えています。
研修期間は1~4ヶ月程度です。受講時間は130時間と定められています。
介護職員実務者研修について
介護職員実務者研修は初任者研修の上位資格になっています。
介護福祉士を目指すならばこの資格の修了が必須なので、ぜひとも取得したい資格です。
実務者研修は研修期間は2~6ヶ月、受講時間は約450時間と決められています。
また、受験資格は特にないため、学歴・年齢関係なく取得することができます。
すでに初任者研修の資格を有している場合には、研修時間が130時間免除になります。
実務者研修の受講内容と時間数
科目 | 無資格 | 介護職員初任者研修 | 生活援助従事者研修 | 介護に関する入門的研修 | ホームヘルパー1級 | ホームヘルパー2級 | ホームヘルパー3級 | 介護職員基礎研修 |
人間の尊厳と自立 | 5時間 | 〇 | 〇 | 5時間 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 | 〇 | 〇 | 5時間 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 | 30時間 | 30時間 | 30時間 | 〇 | 30時間 | 30時間 | 〇 |
介護の基本Ⅰ | 10時間 | 〇 | 〇 | 10時間 | 〇 | 〇 | 10時間 | 〇 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 〇 | 20時間 | 〇 |
コミュニケーション技術 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 | 〇 | 30時間 | 30時間 | 〇 | 〇 | 30時間 | 〇 |
発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 | 10時間 | 10時間 | 10時間 | 〇 | 10時間 | 10時間 | 〇 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 10時間 | 10時間 | 〇 |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 |
障害の理解Ⅰ | 10時間 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 10時間 | 10時間 | 〇 |
障害の理解Ⅱ | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 〇 | 20時間 | 〇 |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | 60時間 | 60時間 | 60時間 | 〇 | 60時間 | 60時間 | 〇 |
介護過程Ⅰ | 20時間 | 〇 | 20時間 | 20時間 | 〇 | 〇 | 20時間 | 〇 |
介護過程Ⅱ | 25時間 | 25時間 | 25時間 | 25時間 | 〇 | 25時間 | 25時間 | 〇 |
介護過程Ⅲ | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 45時間 | 〇 |
医療的ケア | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 |
合計 | 450時間 | 320時間 | 410時間 | 430時間 | 95時間 | 320時間 | 420時間 | 50時間 |
※「○」印はその資格を取得していることで免除になる科目です。
介護福祉士の資格取得
国家試験はそこまで難易度の高い試験ではなく、合格率は70%程度です。
筆者は理学療法士の国家試験を受験し、他の国家資格も保有していますが、多くの国家試験は参考書を一通り終了し、過去問を解き進めていくことで、合格率を高めることができます。
どの国家資格でも同じですが、参考書はかなりの量が発売されています。
しかし参考書はどれでも一緒だと思います。
基本的に国家試験では絶対に押さえておきたい問題が出ます。
絶対に押さえておきたい問題は基本的な問題であることがほとんどなので、どの参考書にも記載されているので、参考書はどれでもいいと思います。
一番効率のいい勉強は友人や知人に解説することです。
解説することで自分自身の知識が深まり、理解することで解説ができるからです。
もし解説できない環境であれば、自分自身に解説をするつもりで行うだけでも効果があります。
「どうしてこの答えはこれになるのか?」
「なぜなら〇〇だから」
というふうに行うだけで記憶に定着します。
介護福祉士合格率の推移
介護福祉士の資格取得するには以下の3種類の方法があります。
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- 養成施設ルート
すでに社会人として働いている場合には、介護現場で働きながら取得するのが一般的かと思います。
介護職員実務者研修修了者と介護福祉士の相違点
多くの介護施設の役職者は介護福祉士の資格を有している方が職務を行っていることが多いです。
また、介護福祉士の資格を有している場合には、他のスタッフに介護・介助方法の指導を行い、スキルアップを図ります。
給与面でも異なります。
初任者研修修了者と介護福祉士の給与の差は4万円程度、実務者研修修了者と介護福祉士は2~3万円程度異なる場合があります。
当然勤務する施設によって多少のばらつきはありますが、一般的に介護福祉士の給与は高めです。
目指せるのであれば、介護福祉士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
施設によっては資格取得に際して、お祝い金を出している施設もあります。
今後、ますます介護職の人手不足が加速することが考えられますので、早めに取得しておいても損はないと思います。
まとめ
この事では介護職員実務者研修をはじめとした、介護職に就くための資格の取り方についてご紹介しました。
介護現場に出る際に未資格でも求人募集は出ていますが、有資格者と比べると圧倒的に求人数は少なくなっています。
また、2024年度以降は介護現場で働く際には何かしらの資格を有していることが今年度の介護報酬制度で改定されました。
現在は移行措置期間であるため、未資格でも介護業務に従事することができますが、これから介護現場に出るのであれば、何かしらの資格を取得しておく必要があります。
キャリアアップとして介護福祉士も目指すことができるため、初めて介護現場に出るのであれば、実務者研修の取得をおすすめします。