冬場になると手足が冷える利用者さんが多いかと思います。
冷えの主な原因は血流不足が挙げられますが、「筋肉量の低下」も要因の一つです。
大きな筋肉を動かすような体操は多くの施設で取り入れられているかと思いますが、足先などの体操はいかがでしょうか?
この記事では末端冷え性改善におすすめな体操をいくつかご紹介していきたいと思います。
ぜひ明日からの業務に活用してみてください。
冬におすすめな手軽な体操
冷え性の主な原因は血流不足と言われています。
血流を改善するためには、筋肉を動かすことが一番ですが、筋肉量が低下している場合には改善がなかなか難しいこともあります。
また、加齢に伴い血流が低下するため、余計に手足が冷えやすくなってしまいます。
そのため血流をよくするためには、まずはしっかりと足先を柔らかくしておく必要があります。
足指・足首のほぐし方
まずはしっかりと足先をほぐしておきます。
そうすることで血流改善効果が期待できます。
- 片足をあぐらをかくように曲げます。
- 曲げた足指を反対側の手で曲げたり伸ばしたりします。
- 両手で足の裏をマッサージしていきます。
- 足指・足首が終わったら、ふくらはぎをマッサージしていきます。
- 左足も同様に行います。
足指・足首の体操
椅子に腰掛け、足のしたにタオルを引いておきます。
タオルを手繰り寄せるように足指を曲げて伸ばしてを繰り返していきます。
手前までタオルを手繰り寄せることができたら、もう一度最初から行います。
これは両足同時に行っていきます。
ふくらはぎのほぐし方
ふくらはぎは足指・足首とは別にさらにほぐしていきましょう。
ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれるくらい、血流改善には大切な部位になります。
座った状態で行う場合その1
- 床に座った状態で左膝を立てて、左手で抱える。
- 右足は前にまっすぐ伸ばして、その足先を触る。この時右の足先を手前に向けるようにしておくとよりストレッチ効果があります。
- いつも通りの呼吸をしながら20秒以上行います。ふくらはぎが伸びているのを感じれるとより効果的です。
- 右足も同様に行います。※ストレッチをするときに呼吸を止めてしまうと、ストレッチの効果はありません。またストレッチの効果が出るのは20秒以上と言われていますので、1回につき最低20秒は行いましょう。
座った状態で行う場合その2
その2ではタオルを使って行っていきます。
- 両足を伸ばした状態で床に座る。
- タオルを両足の裏に引っ掛ける。
- タオルを手前に引っ張り、いつも通りの呼吸をしながら20秒以上行う。
足を伸ばして床に座れる方はこちらの方が簡単に行うことができるので、おすすめです。
ふくらはぎの運動
ふくらはぎをしっかり動かすことで血流の改善効果が期待できます。
運動は簡単です。
椅子に腰掛けた状態で、踵を挙げるだけです。
このとき、つま先は床につけたままにしておきます。
負荷量が少ないので、20回を3セット程度行っていきましょう。
有酸素運動もおすすめ
有酸素運動は全身の筋肉を使うため、血流改善を図るのにおすすめです。
厚労省が出している「高齢者を対象にした運動プログラム」では以下のように運動プログラムを作ることが勧めています。
- 自覚的強度:かなり楽〜ややきつい
- 10分以上の運動を合計して30分
- 週3〜5回
介護施設などで週5回行うのは大変かと思いますので、まずは週3回から取り入れてみてはいかがでしょうか。
食事前30分やおやつ前30分を有酸素運動の時間にするなど、決まった時間に行うことで取り組みやすくなります。
また、高齢者では、有酸素運動をはじめとして、筋力トレーニング・バランス運動も加えたマルチコンポーネント運動が効果的であり、全ての高齢者に対して推奨されています。
こちらも「高齢者を対象にした運動プログラム」に記載がされていますので、ぜひ参考にしてみてください。
体操がもつさまざまな効果
体操の効果1.筋力・身体機能の改善
体操を行うことで筋力・身体機能の改善に期待できます。
20歳代と比較すると60歳では上肢で10〜20%、下肢では20〜40%も筋肉量が低下することが報告されています。
また、カナダの報告では45歳以降から全身の筋肉量が減少して行くことが報告されています、
加齢に伴い、筋肉量や筋力、身体機能の低下が生じますが、これをサルコペニアと呼び、身体機能が低下することで何かしらの障害を生じやすくなった状態をフレイル(虚弱状態)と呼びます。
サルコペニアやフレイル状態から転倒などにつながっていくため、いかにサルコペニア・フレイルを予防するかが大切になってきます。
体操を行うことで、筋力や身体機能の改善を図れ、サルコペニアの予防につながると考えられます。
体操の効果2.生活習慣病の予防
体操などの運動全般は、肥満を予防・改善し、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防効果が期待できます。
厚労省の報告では、
- 1日10分程度のストレッチや体操
- 1日20分程度の散歩やウォーキング
- 週2回程度の下肢・体幹の筋力トレーニング
- 週3回程度のレクや軽スポーツ
などを行うことが勧められています。
また一日あたりの歩数の目安として、
男性:6,700歩
女性:5,900歩
が目標値とされています。
大体1000歩〜1300歩程度歩くのに15分程度かかると言われているので、
1〜2時間程度の散歩でこの目標歩数をクリアすることができます。
連続ではなく途中で休憩してもOKです。
身体活動量が多い方や体操・運動などをよく行っている方は、総死亡や虚血性心疾患、高血圧、糖尿病などの罹患率や死亡率が低いことなどが報告されています。
体操の効果3.食欲促進効果
体操などの運動を行うことで、全身の血流量が増加し、血流状態が改善されます。
また運動量が増加することで食欲促進効果も期待できます。
体操などによって内臓の働きも良くなり、より食欲促進を図ることができます。
どれだけたくさん体操や運動をしていても、食事が摂れないと筋力などは改善してきません。
そのため、体操などを行う場合には食事状態も見直すことが必要です。
まとめ
この記事では末端冷え性改善におすすめな体操をいくつかご紹介しました。
また併せて行いたい体操や体操の効果についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
体操はメリットが多く手軽にできる優れものです。
定期的に運動を取り入れていない場合には、軽い運動から始めるのがおすすめです。
ぜひ血流量改善を図り、冷え性を改善してみてください。