少子高齢化が進むなかで、近年特に介護職のニーズが高まってきています。
今後も介護職のニーズは増していくことが予想されますが、介護職に就くために一番最初に取得しておきたい資格として介護職員初任者研修というものがあります。
この記事では初めて介護職に就く方やこれから介護職に就こうと考えている方に向けて、介護職に就く際に取得しておきたい資格である介護職員初任者研修についてご紹介していきます。
介護職に必要な資格である介護職員初任者研修について
社会福祉士や介護福祉士、看護師、歯科衛生士など介護施設で働く際の資格は数多くありますが、働き始める前に取得しておきたいのが「介護職員初任者研修」という資格です。
それまでは「ホームヘルパー2級」と呼ばれていましたが、2013年の介護保険法改正で名称が変わりました。
ホームヘルパー2級との主な違いは以下の通りです。
- 修了試験の有無
- 30時間の実習の廃止
- スクーリング時間の増加
- 認知症ケア科目の追加
修了試験の有無
ホームヘルパー2級では修了試験がありませんでした。
しかし介護職員初任者研修では修了試験に合格することで修了証が交付され、資格を取得することができます。
不合格の場合でも、追加試験で合格すれば修了証を交付してもらうことができます。
30時間の実習の廃止
ホームヘルパー2級では介護施設で5日間の実習を行っていました。
しかし介護職員初任者研修では実習が廃止になりました。
医療・介護職では就職前に実習という形で実際の現場を経験する機会は大変貴重です。
このような機会がなくなってしまったのは残念ですが、一部のスクールでは独自に実習を実施しているようです。
スクールを選ぶ際の参考にしてみるのもいいですね。
スクーリング時間の増加
実習が廃止になった分、スクーリングの時間が増加しました。
ホームヘルパー2級では通信教材を使った自宅での学習が長かったですが、介護職員初任者研修ではスクーリングが多くなっています。
資格取得までの期間
介護職員初任者研修の規定受講時間は130時間と定められおり、通信のみで受講できる時間も40.5時間以内と定められています。
選ぶスクールにもよって異なりますが、最短で6日間で全カリキュラムを修了することができるコースも用意されています。
介護職員初任者研修の受講時間数やカリキュラムなどは都道府県の規定で異なっていますが、修了した都道府県に関わらず、全国どこでも介護職員初任者研修修了者として働くことができます。
認知症ケア科目の追加
ホームヘルパー2級ではありませんでしたが、初任者研修では「認知症の理解」という科目が追加されています。
2012年の認知症有病者数は約462万人でしたが、近年、認知症患者数は増加しており、2025年には認知症患者数は675万人にのぼると推計されています。
これはおおよそ5人に1人が認知症を発症するという計算になります。
実際の介護現場でも認知症の方は多く、認知症に対する理解がないと戸惑う場面も出てきてしまいますので、認知症の理解は必須科目と言えます。
介護職員初任者研修は誰でも取得できる?
介護職員初任者研修は介護職を目指す上で一番最初に取得することができる資格です。
そのため、年齢や学歴、取得資格、実務経験などは一切必要ありません。
チャレンジの門が広く、比較的誰でも挑戦しやすい資格なので、介護施設で働いてみたいと考えている方は資格取得を目指してみるといいと思います。
介護職員初任者研修のメリット
介護職員初任者研修では基本的介護の知識・技術を取得することができます。
介護職員初任者研修を修了することで以下のようなメリットを得ることができます。
- 介護現場で引く手数多
- 給与面の待遇
- キャリアアップにつながる
それぞれ解説をしていきます。
介護現場で引く手数多
医療・介護現場では人員不足が大きな問題として取り上げられています、
2016年度の段階では要介護者数約622万人に対して、介護職員数は183万人という結果が報告されています。
2020年度には約216万人、2025年度には245万人の介護職員が必要とも報告されており、年間で平均して6万人以上の介護職員を確保しなくてはならず、介護現場は人員不足のため引く手数多です。
給与面の待遇
令和三年度の介護報酬改定により、基本的には無資格の介護職員は「認知症介護基礎研修」を受けることが決定しました。
これまでは無資格でも介護現場で仕事をすることができていましたが、2024年以降は何かしらの資格・研修修了を有していないと介護現場で働くことができなくなります。
そのため、現段階で介護職員初任者研修を修了している人材や介護系の資格をを持っている人材は重宝され、無資格の介護職員と比べて給与面で待遇されることが多いです。
初任者研修を修了していると、資格手当が付与されることがあります。
勤務する介護施設などによって金額は変わってきますが、相場として約5,000円程度の資格手当が付与されることが多いです。
介護福祉事業所では資格取得による介護報酬が算定できませんが、訪問介護事業所では介護報酬を算定することができるため、資格手当が付与される傾向にあります。
キャリアアップにつながる
介護職員実務者研修を修了し、介護現場で3年間の実務経験を積むことで「介護福祉士」の受験資格を手に入れることができます。
介護福祉士の受験資格を手に入れるためにはいくつかの方法がありますが、初めて介護現場で働く方は以下のようなキャリアで進むことが一般的です。
介護職員初任者研修→介護職員実務者研修→介護福祉士(→認定介護福祉士)
初任者研修を先に受けることで、実務者研修の自宅学習科目が19科目中9科目免除されるため、効率的に学習をすることができます。
また、介護福祉士は介護職の中でも唯一の国家資格であるため、資格を取得しておけば職場で重宝されるのは間違いありません。
合格率も60%台と高めなので、チャレンジするメリットは大いにあるかと思います。
まとめ
この記事では初めて介護職に就く方やこれから介護職に就こうと考えている方に向けて、介護職に就くために必要な資格である介護職員初任者研修についてご紹介しました。
2013年以降から介護職員初任者研修に変更となり、実習がなくなってしまいましたが、スクールによっては独自に取り入れている場所もあります。
筆者は理学療法士として働いていますが、養成校時代に実習に行っていました。
その経験から言えるのは、介護現場で働くのであれば、実習のあるスクールを選ぶ方が働いてからのメリットが大きいということです。
短期間でも実習に行けるのと行けないのでは、かなり異なりますので、スクール選びの参考にしてみてください。