脳トレ・塗り絵

脳トレで記憶力upを図れる!【認知症予防にもおすすめ】

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デイサービスや老健などではレクの一環として脳トレを取り入れている施設が多いと思います。
なんとなく脳トレは脳を使うから効果があるんじゃないかな?
と感じている方も多いと思います。

これまで脳トレは脳機能の維持・向上に否定的な意見が多かったのですが、2018年にイギリスの研究では脳トレは記憶力などに効果的であることが報告されました。
そこで、この記事では脳トレが脳に与える影響についてご紹介していこうと思います。

脳トレの効果

脳トレ効果について、2018年の老年精神医学の雑誌である「International Journal of Geriatric Psychiatry」で報告がされています。
この研究ではイギリス人の方を対象としています。

この研究によると、クロスワードパズルや数独などを定期的に行っている50歳以上の人は、より良い脳機能を持っていると報告されています。
対象者数は19,000人とかなりの大人数で、どのくらいの頻度で言葉と数字のパズルを行っているのかを聞き取り、認知機能のテストを実施しました。

その結果、定期的にパズルなどに取り組んでいる人ほど、注意力・推論力・記憶力を評価する能力が優れていたとしています。
パズルなどを取り組んでいる人は取り組んでいない人に比べて、平均して8歳程度若い脳機能を持っていることが報告されています。

何もしなければ人の脳機能は20代後半をピークに低下していくことも報告がされていますが、パズルなどの脳トレを行うことで、脳機能の維持・向上を図ることができます。

認知症予防に効果的な脳トレ

ここからは認知症予防に効果が期待できる脳トレをいくつかご紹介していきます。

簡単な計算

「3+3」「6×9」など簡単な計算も脳トレとして人気があります。
楽しむコツはできる限り早く計算を行うことです。
ゲームではタイムトライアルが行われていることも多く、その記録をどんどん短くしていく楽しさがあります。

計算穴埋めクイズ_2

漢字クイズ

漢字は日本人にとって馴染みの深いものです。
その漢字を使って脳トレを行うことで、脳の活性化が期待できます。

熟語十字穴埋め_2

脳トレにはパズルもおすすめ

パズルにはクロスワードパズルやジグソーパズル、数独、工作パズルなどさまざまな種類があります。
いずれのパズルでも脳トレの効果が期待できるため、パズルはを使った脳トレはおすすめです。

パズルが脳トレにおすすめな理由は以下の4点です。

  1. 認知症予防
  2. レベルに合わせて難易度調整可能
  3. 手を使う細かい作業
  4. 細かい作業なので集中力が必要とされる

それぞれ一つずつ解説をしていきます。

1.認知症予防

パズルは、どこにどのピースがハマり、どういった完成形になるのかなどをイメージしながら作成をしていきます。
また色の識別や図形の認識、記憶などさまざまな能力を使い、見通しを立てながら作業を行うことため、脳の活性化が期待できます。

パズルを使ったレクリエーションを「認知刺激療法」とも言います。
認知刺激療法を用いた研究では、認知機能に効果があり、認知刺激療法終了後1〜3ヶ月程度まで効果は継続したと報告されています。

2.レベルに合わせて難易度調整可能

パズルを使った脳トレでは、利用者さんに合わせてピースの大きさや形状、絵柄などによって難易度を調整することができます。
ジグソーパズルでは300ピースがもっとも難易度が低く、3000ピースになるともっとも難易度が高まります。

また、ピースの数が増えるにつれてピースの大きさも小さく・絵柄も複雑になっていきます。
風景のジグソーパズルは境界が曖昧で同じピース数でも難易度が高くなります。

介護施設などでジグソーパズルを行うときは、介護職員が利用者さんの能力に合わせて選ぶのがいいかと思います。

3.手を使う細かい作業

脳には手足に対応した領域が存在しています。
この領域は「感覚」と「運動」の2種類が存在しています。

「ホムンクルスの小人」というもので表されているのは、脳において手の領域が占める割合がかなり多いということです。
これは感覚も運動もどちらも、手がかなりの割合を占めています。

つまり、手をたくさん動かせば動かすほど脳に刺激が送られ、脳の活性化につながるということになります。

そのため、手をたくさん動かすようなパズルが脳トレにおすすめなのです。

4.細かい作業なので集中力が必要とされる

手の機能として必要とされるのは「巧緻性」と呼ばれる機能です。
針に糸を通すことや折り紙を折る、靴紐を結ぶ、パズルを組み立てるなど、細かい作業を行う時に巧緻性は必要とされます。

また「健常者における手指巧緻動作と認知機能の関連」という報告があります。
この報告の中では、巧緻性動作を必要とする運動を行なった際、判断や注意・集中力、運動コントロールなどの中枢である前頭前野機能の活動が必要とされる。と報告しています。

手指を用いた作業は脳活動に大きな影響を与え、集中力なども向上することが考えられます。

記憶力が低下してしまった時の代替方法

介護施設などで脳トレを行っていても記憶力が低下してしまう方もいます。
そういった場合にはメモリーノートと呼ばれるノートを記載することで代替することができます。

メモリーノートは高次脳機能障害の一つである記憶障害に対して用いられる補完手段の一つとして有効であることが報告されています。

また、「認知症高齢者にメモリーブックを活用したケアの効果」では認知機能の低下を抑止し、機能維持に効果的であることが示唆されたと報告されています。
そのため、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)を呈している場合には、メモリーノートの活用も有効だと考えられます。

軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは

MCIでは認知症と同様の認知機能低下に伴う症状が表れます。
記憶障害をはじめに注意力や集中力低下、遂行機能低下などが多くみられます。

しかし症状が軽く、認知症ではないため、一人で自立した生活を送ることが可能です。
そのため見過ごしてしまう可能性もあります。

MCIかな?と感じた場合には「もの忘れ相談医」の診察を受けてみましょう。

まとめ

この記事では脳トレが脳に与える影響についてご紹介しました。
加齢に誰しもが認知機能低下が生じてしまいます。

しかし脳トレを実施していれば認知機能低下を緩やかにする可能性があります。
ぜひ今回ご紹介した脳トレを活用してみてください。

また「レクシル」には今回ご紹介した脳トレ以外にも多くの脳トレが用意されています。
そちらもぜひ活用してみてください。
レクシル公式ページへ

参考文献
Helen Brooker et al.An online investigation of the relationship between the frequency of word puzzle use and cognitive function in a large sample of older adults.International Journal of Geriatric Psychiatry.2018;15.
坪井章雄ら.健常者における手指巧緻動作と認知機能の関連.厚生の指標.2013;60(1):10-16.
認知症患者の認知機能を改善する認知刺激
松井久美ら.認知症高齢者にメモリーブックを活用したケアの報告.石川看護雑誌.2017;14:103-110.

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