脳トレ・塗り絵

認知症予防に効果的な脳トレ【進行予防も期待できる?】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高齢化社会を迎えた日本ですが、2025年には認知症患者数が700万人を超えると予想されています。

認知症は加齢に伴い、誰しもが発症しうる可能性を秘めています。
そのため、多くの研究者が認知症を予防するためにはどうすればいいのかを調査しています。

認知症を予防する可能性があるものとして、脳トレがいいとされています。
そこでこの記事では、認知症予防に効果的な脳トレや脳トレの効果などについてご紹介していきたいと思います。

認知症予防に効果的な脳トレ

最近の研究では脳トレが脳機能の維持・向上を図ることが報告されました。
数独やパズルなどの思考が伴うような活動を行なっている人はそうでない人たちに比べて脳の年齢が平均して8歳若い、という結果が報告されています。

脳トレにはさまざまなものがありますが、介護施設や個人でも手軽に行うことができる脳トレをご紹介していきます。

クロスワードパズル

クロスワードパズルはヒントを元に、縦横に交差したマスに該当する言葉を埋めていくゲームです。
発祥は1913年に雑誌「ニューヨークワールド」にアーサー・ウィン氏が掲載したものとされいます。

数独

数独は3×3のブロックで区切られた9×9の正方形の枠内に1〜9の数字を入れていくゲームです。
縦横(場合によっては斜め)の各列や太線で囲まれた3×3のブロック内に同じ数字が1つしか入らないように数字を入れていきます。

簡単な計算

「3+3」「6×9」など簡単な計算も脳トレとして人気があります。
楽しむコツはできる限り早く計算を行うことです。
ゲームではタイムトライアルが行われていることも多く、その記録をどんどん短くしてく楽しさがあります。

マッチ棒パズル

マッチを一本の直線として指定された形を作るパズルです。
「マッチ棒で作られた30に一本足して都道府県名を作りなさい」「マッチ棒で作られた10から1本動かして半分の数字にしなさい」など一見すると、どうすれば良いかわからないものが多く非常に人気があります。

認知症予防におすすめの体操

脳トレ以外にも認知症予防には体操がおすすめです。
体操などの運動と認知症予防、進行緩和に関する効果は以下のようなものが報告されています。

  • 運動は認知症発症数を減少効果
  • 歩行量が多いほど認知症予防に効果
  • 運動が認知機能を改善効果
  • 週2-3回の運動が認知症予防に効果的

体を動かしながら(=運動課題)頭を使う(=認知課題)など複数のことを同時に行う二重課題を行うことで、より効果的になります。

歩きながら四則演算をする、歩きながらしりとりをする、などさまざまなものがあります。
二重課題の体操でもっとも有名なのがコグニサイズと呼ばれるものです。

次からはコグニサイズについてご紹介していきます。

コグニサイズとは?

コグニサイズとは国立長寿医療研究センターが開発した、運動と認知課題を組み合わせた運動のことです。
コグニサイズが生まれた背景には、今後の日本で認知症患者が激増することが予想されているためです。

コグニサイズが作成されるころ、2012年には認知症者が全国で462万人と推計されていました。

それが2025年には700万人を超えるとされており、わずか10年で認知症者は1.5倍にも跳ね上がる試算がされています。
このような背景から、認知症者を予防することに作られたのが「コグニサイズ」です。

コグニサイズの方法

コグニサイズの方法は簡単です。

運動課題は全身を使った中強度程度の負荷で、脈拍数が上昇するもの。
運動と同時に行う認知課題は、運動の方法や認知課題をたまに間違えて答えてしまう程度の問題。


上記の2種類を満たすものとされています。
中強度程度の負荷というものは、軽く息が弾む程度の運動を指します。

認知症は加齢に伴って誰しもが生じうる可能性を秘めています。

コグニサイズは認知症の発症を遅らせることを目的として作られており、完全に認知症を予防することは難しいです。
しかし脳の活動を活発にする機会を作るということは、脳にとって良い影響を与えます。

そのため、認知課題がノーミスでクリアできてしまうと、脳に対しては負荷がかかっていない(=簡単すぎる問題)といえますので、難易度調整を上手に行っていきましょう。
コグニサイズの詳細を確認

認知症の進行予防に効果的な回想法

人は高齢になるにつれて、過去を回想する頻度が高まるとされています。
これは、高齢者が自ら歩んできた人生を振り返り、整理し、その意味を模索しようとする、自然で普遍的な行為または過程として意味づけられています。

こうした高齢者の過去の回想に共感的受容的姿勢を持って、意図的に介入することが回想法ですが、回想法の効果はさまざまなことが報告されています。

過去の葛藤の解決と自我の統合の促進、抑うつの軽減、人生の満足度の増加、対人関係の促進などが報告されています。
また、継続して回想法を行うことで、認知症における暴言や徘徊、BPSDが軽減することも報告されています。

BPSDとは

認知症には「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれる2つの症状があります。

BPSDは周囲の不適切なケアや身体の不調・不快、ストレスや不安などの心理状態が原因となって現れる症状です。
例えば「怒りやすい」「一人で歩き回る」「暴言・暴力が見られる」などです。

BPSDは中核症状の二次的症状として現れるため、初期には「ここはどこ?」「どうしてここにいるの?」などの見当識障害が現れます。

こうした見当識障害による不安や混乱が続くことで、徘徊や暴言・暴力などのBPSDにつながっていきます。
そのため、「中核症状の原因を理解する」ということが大切になってきます。

まとめ

この記事では、認知症予防に効果的な脳トレや脳トレの効果などについてご紹介しました。
パズルを使った脳トレは手軽に行うことができ、脳機能の維持・向上も期待ができます。
ぜひ今日から脳トレを取り入れて認知症予防を行なってみてください。

またコグニサイズは簡単に行うことができますし、場所も取りません。
国立長寿医療研究センターがオンライン上で見れるパンフレットも用意していますので、そちらを参考にコグニサイズを行うのがおすすめです。

参考文献
野村 信威. 地域在住高齢者に対する個人回想法の自尊感情への効果の検討.心理学研究.2009:80(1);42-47
Rolland Y, van Kan GA, Vellas B : Physical activity and Alzheimer’s disease : from prevention to therapeutic perspectives. J Am Dir Assoc 2008 ; 9 : 390.405
Ravaglia G, Forti P, Lucicesare A, Pisacane N, Rietti E, Bianchin M, Dalmonte E : Physical activity and dementia risk in the elderly. Neurology 2008 ; 70 : 1786.1794
Lautenschlager NT, Cox KL, Flicker L, Foster JK, van Bockxmeer FM, Xiso J, Greenop KR, Almeida OP : Effect of physical activity on cognitive function in older adults at risk for Alzheimer disease. JAMA 2008 ; 300 : 1027.1037
Rovio S, Kåreholt I, Helkata E, Vitanen M, Winblad B, Tuomilehto J, Soininen H, Nissinen A, Kivipelto M : Leisure time physical activity at midlife and the risk of dementia and Alzheimer’s disease. Lancet Neurol 2005 ; 4 : 705.711
Larson EB, Wang L, Bowen JD, McCormick WC, Teri L : Exercise is associated with reduced risk for incident dementia among persons 65 years of age and older. Ann Intern Med 2006 ; 144(2): 73.81
Helen Brooker et al.An online investigation of the relationship between the frequency of word puzzle use and cognitive function in a large sample of older adults.International Journal of Geriatric Psychiatry.2018;15.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加