介護施設やデイサービスでは脳トレをレクリエーションの一環として行うことがよくあります。
しかし利用者さんに飽きないように脳トレを行っていても、レパートリーに限りがあってマンネリ化してしまう。
そんなふうに感じている介護職員の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、実際に病院と老健で働き、いくつもの脳トレを行ってきた筆者が、デイサービスで脳トレの内容に悩んだときにおすすめの脳トレをいくつか紹介していきます。
デイサービスで脳トレに悩んだとき
脳トレというと百ます計算などの計算ドリルや漢字、都道府県当てなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
そういったものも脳トレの一種に含まれますが、もっと広い意味での脳トレは「脳を使うトレーニング」全般を指します。
そのため、体を動かしながらや過去を思い出すこと、何かを考えること全てが脳トレになります。
脳トレで期待できる効果はたくさんありますが、一番は「認知症予防」です。
加齢に伴い、物事を考える機会が減ってしまうと脳を使う機会も減ってしまい、認知症が進行していきます。
そうなってしまわないように、脳トレで一生懸命脳を使うことで認知症予防につながることが期待されています。
ここからは実際に脳トレの内容をご紹介していきます。
計算ドリルや漢字ドリル
一番簡単に行うことができるのが、計算や漢字のドリルです。
利用者さんの脳機能に合わせて難易度を調整することも簡単に行うことができます。
一人でできる方には自主トレーニングの一環として、ドリルをコピーしたものをお渡しするのもおすすめです。
しかしドリル系のデメリットとしてはマンネリ化してしまうこと。
自主トレでお渡ししている方がたくさんいる場合には、利用者さんみんなで行う脳トレのときにはドリル系以外の脳トレを行うことをおすすめします。
体を使った脳トレ
右手と左手、右足と左足など、左右非対称に動かすことも脳トレになります。
例えば、一人でじゃんけん。
右手は勝ちで左手は負け、というルールを作っておき、左右同時に出します。
このときには必ず右手が勝つように、左手が負けるように出していきます。
慣れてきたらスピードを早めたり、勝ち負けの手を入れ替えたりすることで難易度を変えることもできます。
また、後出しじゃんけんもおすすめです。
介護職員が前でグー・チョキ・パーのいずれかを出した後に、利用者さんに勝ってもらうもしくは負けてもらうようにします。
介護職員が何を出したのか認知してから、自らの手を出すので、何を出せば勝ちなのか、負けなのかを考えて出す必要があるため、脳トレにはおすすめです。
回想法
脳トレとして「回想法」もおすすめです。
回想法は、昔の懐かしい写真や音楽、昔よく使っていた物品などをみたり触れたりしながら、昔の経験や思い出を語り合う方法です。
この記事をお読みいただいている方でも、昔よく聞いていた音楽を今聞き直すと、その時代を思い出されるのではないでしょうか?
回想法は特に認知症の方へのアプローチとして用いられています。
認知症の方は、最近の記憶を保持しておくことは難しいですが、過去の記憶はしっかりと保持されています。
昔のことを思い出して言葉にしたり、介護職員や他の利用者さんの話を聞くことで脳が活性化され、活動性や自発性、集中力の向上などが期待されます、
また、認知症の予防効果もあるため、脳トレとして行うのはおすすめです。
認知症予防には運動もおすすめ
認知症の予防には運動もおすすめです。
運動と認知機能は多くの研究者が興味のある分野であり、かなりの数報告されています。
例えば、ウォーキングを行うよりも高強度の運動を週3回以上行っていた高齢者は、運動習慣のない高齢者に比べて認知症の発症リスクが低かったとされています、
また、認知機能障害のない方を対象にした研究では、週3回以上の運動習慣を持っている高齢者は、週3回未満の高齢者に比べて認知症になるリスクが減少することなども報告されています。
運動の内容としては、単一の運動を行うよりも、ウォーキングや水泳、サイクリング、ゴルフなど複数の運動を組み合わせて行う方が認知症の予防効果が高いことも明らかにされています。
ぜひ、運動を取り入れたレクリエーションも行ってみてください。
認知症の進行予防にも運動がおすすめ
認知症の方に対する運動の効果も多く報告されています。
認知機能の改善、情動・精神機能の安定や改善、日常生活動作の改善などを目的に運動を行っていきます。
認知症予防ほどの数が報告されているわけではありませんが、現段階では進行予防にも運動を取り入れるべきとされています。
コグニサイズ
脳トレとしてコグニサイズもおすすめです。
やり方は簡単。
1. 運動課題は全身を使った中強度程度の負荷で、脈拍数が上昇するもの
2. 運動と同時に行う認知課題は、運動の方法や認知課題をたまに間違えて答えてしまう程度の問題
上記の2種類を満たすものを行えばOKです。
中強度程度の負荷というものは、軽く息が弾む程度の運動を指します。
認知症は加齢に伴って誰しもが生じうる可能性を秘めています。
しかしコグニサイズは認知症の発症を遅らせることを目的として作られており、完全に認知症を予防することは難しいです。
しかし脳の活動を活発にする機会を作るということは、脳にとって良い影響を与えます。
そのため、認知課題がノーミスでクリアできてしまうと、脳に対しては負荷がかかっていない(=簡単すぎる問題)といえますので、難易度調整を上手に行っていきましょう。
→コグニサイズの詳細を確認
まとめ
この記事ではデイサービスで脳トレに悩んだときにおすすめの脳トレをご紹介しました。
脳トレの効果は主に認知症予防が期待されています。
また、認知症予防・進行予防には体操などの運動が勧められています。
脳トレのレパートリーに悩んだときには「レクシル」を参考にするのもおすすめです。
レクシルでは脳トレや簡単に行うことができるレクリエーションなどが紹介されています。
ぜひ、明日からの脳トレ・レクリエーションのお供にしてみてください。
参考文献
Laurin D, Verreault R, Lindsay J, MacPherson K, Rockwood K.: Physical activity and risk of cognitive impairment and dementia in elderly persons. Arch Neurol. 2001; 58(3): 498-504.
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