レク・体操

老人ホームで行うレクリエーション【実は知らない5つのメリット】

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老人ホームやデイサービス、病院などさまざまな場所でレクリエーションは行われています。
施設によってはレクリエーションを自施設の強みにしている場所もあるほどです。
レクリエーションには体を動かすものから、座って頭を使うレクリエーションなどさまざまな種類があります。

介護施設で働き始めたばかりの方などは、レクリエーションをするメリットや目的がわからない方もいると思います。

そこで今回は、理学療法士として病院と老健で働いてきた筆者が、老人ホームで行うレクリエーションのメリットについて解説していきたいと思います。

老人ホームで行うレクリエーションのメリット

老人ホームやデイサービスなどでレクリエーションを行うのにはさまざまな理由があります。
レクリエーションは楽しみながら身体機能やQOL改善など多くのメリットがあります。
以下からはそれぞれのメリットについて紹介していきます。

脳を活性化させる

レクリエーションのメリット一つ目は「脳の活性化」です。
簡単なゲームや言葉遊びなどを応用したレクリエーションでは体ではなく、頭を使います。
こういった頭を使うようなレクリエーションを行うことで、脳の活性化が期待されています。

脳は外部からの刺激がないと機能低下していくことが知られています。
単調な日々に刺激を加えるのに、レクリエーションはもってこいなんです。
また、体と頭を同時に使うようなレクリエーションもおすすめです。
コグニサイズ」と呼ばれる国立長寿医療研究センターが開発したエクササイズが代表的です。

脳活性化5原則

また脳の活性化5原則というものが提唱されています。
この原則はリハビリテーション領域において提唱されている原則ですが、老人ホームやデイサービスなどと立場を置き換えても参考にすることができます。

1. 快
セラピストも利用者(認知症患者)もともに「快」で、ともに笑顔でリハを行う。
笑顔で楽しく過ごせる場面設定や雰囲気作りが求められる。

2. 褒め合う
認知症患者の生活意欲が高まるよう「褒める」。
褒められることは報酬であり、生活意欲や学習意欲を高める。さらには傷ついた自尊心の回復にもつながる。
セラピストは、褒めようという意識を常に持って、些細なことでも見つけて褒める。

3. 双方向コミュニケーション
親密の情を表したコミュニケーションは不安や喪失感を感じている認知症患者に安心感を与える。

4. 役割
たとえ認知症になっても「社会(他者)の役に立ちたい」と本人は思っている。
リハではセラピストと患者という主従関係になりがちだが、患者が主役で活動する、セラピストがそれを支えるというスタンスが重要である。

5. 失敗を防ぐ支援
「できること」と「できないこと」を見極め、なるべく本人の残存能力を引き出しながら、最低限の援助でうまくできるようにして成功体験に結びつける。

上記の関わり合いはリハビリテーション職であろうが、介護職であろうが関係はありません。
いずれも大切な関わり方なので、知っておくと今後の役に立ちますよ。

コミュニケーションの促進

老人ホームなどに入所していると、他者とのコミュニケーションが減ってしまいます。
しかしレクリエーションなどで人々が集まる場所に行くことで、他者とのコミュニケーションが生まれます。

他者とのコミュニケーションが減ってしまうと、外部からの刺激が生まれず認知症が進行する可能性があります。
できるだけ利用者さんが、外部からの刺激を受けれる環境を作っていく必要があります。

生活の質(QOL)の向上

理学療法士として病院でリハビリテーションを行っていると、同じような状態で退院になっても、患者さんの満足度が異なることをよく経験します。

満足度の高い患者さんとそうでない患者さん、何が違うのかな?
と考え、よく観察していると、他者との関わりが多い患者さんや同室の雰囲気がいい患者さんたちは高い満足度で退院されていきます。

おそらく他者とのコミュニケーションが生まれることで、満足度が満たされるのだ考えています。
そのため、老人ホームなどでも他者とのコミュニケーションが多く生まれることで、利用者さんたちの満足度や生きがいなどを含めたQOL向上を図ることができます。

生きがいの再構築

私が働いていた老健にはデイサービスも併設されていて、日々多くの方がいらしていました。
その中で、毎日竹細工を行っている方がいたのですが、その方は完成した竹細工をいろんな方に配ったり、別の場所で販売などを行っていました。
その方が竹細工を始めたきっかけは施設にいた作業療法士の一言だったのですが、それが今ではその方の生きがいになっているように思います。

またデイサービスのレクリエーションではその方に講師役をお願いして、簡単な竹細工の作り方などをレクチャーしていただきました。
利用者さんが得意とすることをレクリエーションで取り上げることができるのもメリットの一つです。

サルコペニア・フレイル改善効果

加齢に伴い筋力や筋肉量、心肺機能などの身体機能は低下していきます。
このような状態をサルコペニアと呼びますが、サルコペニアの状態から転倒転落、骨折のしやすい状態をフレイル(虚弱状態)と呼びます。

サルコペニアは加齢によって生じてしまうので、ある程度は仕方がない部分もあります。
しかし、そこで対策を行っておけば、その後のフレイル状態にまでならずに済む可能性があります。

老人ホームなどで行っているレクリエーションでは、全身を動かすレクリエーションもあるので、筋力や心肺機能の改善に期待することができます。

まとめ

今回は、老人ホームで行うレクリエーションのメリットについて解説をしました。
ただ単に遊んでいるように見えるかもしれませんが、レクリエーションには多くのメリットがあります。

利用者さんにさまざまな役割を任せることもできるので、レクリエーションでは全員で楽しむことができます。
また、レクリエーションの難易度は簡単すぎず、難しすぎないところがベストです。

調整が難しいですが、難易度の調整を行えるのは介護職院だけです。
ぜひ利用者さんたちをよく観察して、難易度調整を行ってみてください。

参考文献
Yamaguchi H, Maki Y, Yamagami T(2010) Overview of non- pharmacological intervention for dementia and principles of brain- activating rehabilitation. Psychogeriatrics 10 : 206- 213

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