レク・体操

高齢者向けの体操で手軽に行う方法5選【どこでもいつでもできる!】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護施設で働いていると、高齢者の方と体操を行う機会が多いですよね。
重錘やゴムバンドなどを使って体操をしている方もいます。
しかし、重錘やゴムバンドなどがない場合にはどうしましょう?

今回は高齢者の向けの体操で手軽に行う方法についてご紹介していきます。
特別な器具は何も必要ありません。

必要なのは椅子とタオルだけ。
この二つがあれば、いつでもどこでも体操を行うことができます。

高齢者向けの体操で手軽に行う方法

特別な器具を使えば大層としての効果は上がりそうですが、適切な運動量を行えば器具がなくとも十分な効果を得ることができます。
用意するのは椅子とタオルだけです。

両手でタオルを握ってバンザイ

椅子に座った状態でタオルの両端を握ります。
その状態で前から真上にバンザイしていきましょう。

10回を2〜3セット行いましょう。
セット間の休憩は利用者さんの息切れなどを参考に休憩時間を取っていきます。

両手でタオルを握って体をひねる

椅子に座った状態でタオルの両端を握ります。
胸の高さで腕を伸ばして、左右に体をひねっていきましょう。

右⇄左で1回です。この時勢いよくやらずにゆっくり行なっていきましょう。
こちらも10回を2〜3セット行っていきます。休憩は①と同様です。

両手でタオルを握ってバンザイ→体を倒す

椅子に座った状態でタオルの両端を握ります。
その状態でバンザイをして、体を左右に倒しましょう。

右⇄左で1回です。これも10回を2〜3セット行います。
左右に体を倒すので、椅子から落ちないように気をつけましょう。

膝のばし

椅子に座った状態で、背筋をただし、膝を伸ばす運動です。
足の運動をするときにはタオルを使用せずにOKです。

自分の伸ばせるところまで膝を伸ばします。
伸ばしきったところで2〜3秒止めることができると◎です。
こちらも10回を2〜3セット程度行っていきます。

また、膝を伸ばしたときに背筋が丸まってしまわないように気をつけましょう。

ももあげ

④と同じ姿勢をとります。
膝を90°に曲げた状態で、太ももをあげられるところまであげます。
あげきったところで2〜3秒止められれば◎。
10回を2〜3セット行っていきます。

たった5つの運動でもセットを繰り返し、ゆっくり行うことで軽く息が上がる程度の負荷をかけることができます。
ぜひやってみてください。

また、運動の負荷や運動頻度などはお医者さんや理学療法士などに確認しておくことで、運動中のインシデントを防ぐこともできますでの、ぜひ確認はしておきましょう。

今回紹介した以外にも、高齢者向けの体操で手軽にできるものはたくさんあります。
レクシルではそういったレクや体操などを多く紹介しています。
こちらも参考にしてみてください。
レクシル公式ページへ

高齢者が体操を行う効果

ここからは高齢者が体操を行う効果について解説をしていきます。
別に体操なんてしなくてもいいんじゃない?
体操は疲れるから嫌よ
とおっしゃる利用者さんも中にはいます。

でも体操を行う効果を知っていることで、そういった方達とも一緒に体操をすることができるようになるかもしれません。

体操の効果1.筋力・身体機能の改善

高齢者の方が体操を行うことで、筋力・身体機能の改善に期待できます。
加齢に伴い、筋肉量や筋力、身体機能の低下が生じますが、これをサルコペニアと呼びます。

また、身体機能が低下することで何かしらの障害を生じやすくなった状態をフレイル(虚弱状態)と呼びます。
サルコペニアやフレイル状態から転倒などにつながっていくため、いかにサルコペニア・フレイルを予防するかが大切になってきます。

高齢者の方々が体操を行うことで、筋力や身体機能の改善を図れ、サルコペニアの予防につながると考えられます。

フレイルの定義

  1. 体重減少
  2. 主観的疲労
  3. 日常生活活動量の減少
  4. 身体能力(歩行速度の減少)
  5. 筋力(握力)の低下

上記が1〜2項目当てはまる場合にはフレイル前段階、3項目以上当てはまる場合にはフレイルと考えられます。

体操の効果2.生活習慣病の予防

これは介護施設を利用していない方にも当てはまります。
体操などの運動全般は、肥満を予防・改善し、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防効果が期待できます。

厚労省の報告では、

  • 1日10分程度のストレッチや体操
  • 1日20分程度の散歩やウォーキング
  • 週2回程度の下肢・体幹の筋力トレーニング
  • 週3回程度のレクや軽スポーツ

などを行うことが勧められています。
また一日あたりの歩数の目安として、

男性:6,700歩
女性:5,900歩
が目標値とされています。
大体1000歩〜1300歩程度歩くのに15分程度かかると言われているので、1〜2時間程度の散歩でこの目標歩数をクリアすることができます。

連続ではなく途中で休憩してもOKです。
身体活動量が多い方や体操・運動などをよく行っている方は、総死亡や虚血性心疾患、高血圧、糖尿病などの罹患率や死亡率が低いことなどが報告されています。

体操の効果3.食欲促進効果

体操などの運動を行うことで、全身の血流量が増加し、血流状態が改善されます。
また運動量が増加することで食欲促進効果も期待できます。
体操などによって内臓の働きも良くなり、より食欲促進を図ることができます。

どれだけたくさん体操や運動をしていても、食事が摂れないと筋力などは改善してきません。
そのため、体操などを行う場合には食事状態も見直すことが必要です。

まとめ

今回は高齢者向けの体操で手軽にできる方法、体操の効果についてご紹介しました。

誰しもが加齢に伴って筋力や身体機能は低下していきます。
身体機能などが低下した状態では転倒しやすく、少しの衝撃で骨が折れてしまったりします。
そうならないためにも、筋力向上や身体機能向上のために体操や運動は不可欠です。

いきなりたくさんの量を行うのは大変なので、まずは1日1セットから始めてみましょう。
筋力がちゃんと上がってくるのは運動をし始めてから2〜3ヶ月程度先と言われています。

少ない回数から無理なく始めて継続していくことが大切です。
ぜひ利用者さんと一緒に体操を行ってみてください。

参考文献
U.S. Department of Health and Human Services: Physical Activity and Health. A Report of the Surgeon General, International Medical Publishing, 1996.
Province MA, et al: The effects of exercise on falls in elderly patients. A preplanned meta-analysis of the FICSIT trials. JAMA 1995;273:1341-1347.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加