認知症を予防する可能性があるとされている「睡眠・栄養」「運動」「知的な活動」を解説。
毎日の生活の取り入れやすい簡単な運動と思考トレーニングについても紹介します。
【目次】
1.認知症予防に必要な3つのポイント
2.簡単にできる運動と思考力トレーニング
3.まとめ
認知症予防に必要な3つのポイント
「〇〇をしたら、認知症が100%予防できる!」といった、認知症の予防方法はいまだ確立されておらず、さまざまな研究が進められています。
そのなかで、認知症の発症に食事や生活サイクル、運動、精神的な活動などが関係していることが分かってきています。
健康に必要な睡眠と栄養
睡眠不足や栄養不足は脳や体に負担をかけてしまいます。
意欲や活動量にも影響し、結果として認知機能面の低下につながることがあるのです。
睡眠に関する悩みは医師の診察を受け、薬や漢方薬で改善する場合もありますが、生活に気を付けてゆるやかに改善出来る可能性もあります。
例えば、起床したら朝日を浴びる、日中はできるだけ起きている、活動できれば外出をする、夜は定時に眠るなど、生活サイクルを一定に保つだけでも睡眠時間にはメリットがあるでしょう。
ただし、睡眠障害の原因は多岐にわたります。
もし、辛い状態が続いていると感じたら医師の診察も視野に入れることが大切です。
また、脳の健康には栄養も大切です。
体は食べているものからできていることは周知の事実ですが、脳も同じです。
今は、テレビや新聞などで健康に良いとされる食品について取り上げられているのを良く目にします。
健康情報を見聞きしたときに大切なのは、情報を見聞きして「一時的だけ実践する」や、「一部の食材だけ沢山とる」のではなく、毎日、コツコツ必要な食事をバランス良くとる続けることです。
高齢になると、基礎疾患も増えてくることが少なくありません。
もし、かかりつけの医師から食事や生活習慣の指導がある場合は、そのアドバイスを参考にしていきましょう。
自炊が大変で、栄養が偏ってしまったり、栄養が不足する場合もあります。
今は、手軽に栄養が取ることができる加工食品やドリンクも販売されているので、医師や栄養士、またはケアマネージャーなどに相談してみると良いですね。
高齢者では、食事の好みや、食欲に変化があらわれる傾向があります。
喉の乾きを感じにくくもなるようです。
そのため、知らず知らずのうちに栄養や水分の不足が進んでしまうこともあります。
栄養や水分の不足が、足腰の筋力や体力の低下を招き、結果として活動量も減ってしまいます。
体の活動量低下は、精神的な活動も減り認知機能の低下につながることがあるので注意しましょう。
運動
運動は全身の血流だけではなく、脳の血流も促進します。
マラソンや水泳などのハードなトレーニングやエクササイズでなくても大丈夫です。
自宅で生活している場合は、家事をしたり、買い物に外出したり、少し近所を散歩するなどでも良いでしょう。
もし、歩行に自信がなく屋外に行けない場合でも、座ったままできる足踏みがお薦めです。
横になる時間が多くなっている場合は、体調の許す範囲で座る時間を伸ばしていくだけでも違います。
何より大切なことは、食事と同じで毎日少しでもいいので続けることです。
頭を使って脳を動かす
脳の活性化といえば「脳トレ」。
無料で使えるドリルも多くあり、デイサービスやデイケアでも広く普及しています。
「レクシル」では脳トレドリルや、レクリエーション動画がたくさん用意されています。
ぜひ活用してみて下さいね。
また、ドリルやレクリエーション以外にも脳の活性化が期待できる方法もご紹介します。
こちらも参考にしてみて下さい。
自宅で生活している場合は
・買い物に行って、何を買うか思い出す
・1行でも良いので、日記をつけて、その日の出来事を思い出す
・近所の人や、趣味の集まりで人と話す
デイサービスやデイケアを利用している場合は
・一緒に利用している人や、職員の名前を覚える
・会話をする
・家に帰って、家族に今日過ごした内容を思い出して話す
・通所に行く日を、カレンダーに書き混み、スケジュールを認識する
嬉しい、楽しい、ワクワクする、達成感などの気持ちの動きも、脳には非常に刺激になるのは注目したいところです。
簡単に実践できる運動と思考力トレーニング
体や脳の機能を維持するためには、毎日続けることが大切です。
簡単に無理なくできるものを選ぶことで継続しやすくなります。
ここからは簡単に実践できる運動や脳トレを紹介していきます。
ストレッチ
椅子に座ったままできるストレッチの紹介です。
【背中・腰を伸ばす】
・椅子に浅く座る
・片足を前にのばす
・指先をつま先のほうに移動させる
・背中はなるべく丸まらないように
・痛みのない範囲で行う
・呼吸は止めず、ゆっくり吐く、吸うを繰り返す
・膝を伸ばしたままが辛い場合は、膝を曲げて上半身を前にゆっくり倒す
・痛みや、体幹がグラグラしてしまう場合は見守りや中止をする
【上半身を左右に倒す】
・両手を上げて、ゆっくり右へ倒し、ゆっくり戻る
・左も同様に
・痛みや、グラグラ不安定になる場合は無理をしない
【腕・背中を伸ばす】
・右腕をまっすぐ前に伸ばす
・胸の前で右腕を引き寄せる
・反対の手を、右手の前腕にかけて引き寄せると尚、良い
・反対側の腕も同様に行う
体操
体操の前と後で水分補給を忘れないようにしましょう。
体操もさまざまなものがありますが、ここではコグニサイズと呼ばれる体操を紹介します。
コグニサイズとは運動と思考力を同時に行うことが特徴です。
「運動だけ」、「頭を使うことだけ」よりも、2つ同時に行うことで脳の働きをより促すことができると言われています。
さまざまな種類がありますが、一部を紹介します。
歩く
・歩きながら脳トレをする
・脳トレは「しりとり」「足し算」「野菜の連想」など簡単なもので良い
その場で足踏み
車いすの利用者さんでもできますので、おススメです。
・左右交互に足踏みをする
・声に出して数を数えながら「5の倍数」で手を叩く
思考力トレーニング
「思考」と一口で言ってもさまざまなものがあります。
特別な道具は必要なく、手軽に手に入るドリルや、日常生活のポイントを紹介します。
記憶力
・5つの単語を覚えて、何か作業をした後に、再度思い出す
・言葉を反対から言う「あさがお」→「おがさあ」
目で空間を認識する
・塗り絵
・パズル
・散歩するときに、草木や鳥、風景などを見る
注意を維持する、または、注意を払う
・間違い探し
・新聞や本の中で文字を探す(例:「あ」を探す)
・話声や、物音がする中で、特定の人の声を聞き分ける
まとめ
認知症の予防方法は分からないことも多く、研究されている分野です。
その中でも、認知症の予防に有効と言われているのは「睡眠・栄養」「運動」「知的な活動」です。
デイサービスやデイケアでも取り入れやすい簡単な運動と思考トレーニングを実践して、体と心の健康を保ちましょう。
【参考資料】
「認知症予防へ向けた運動 コグニサイズ」国立長寿医療研究センターhttps://www.ncgg.go.jp/ncgg-overview/pamphlet/koguni_pamph.html