手遊びの脳トレは、脳の活性化に繋がり認知症予防としてデイサービスや介護施設で広く普及しているレクリエーションです。
手の動きに加え、注意力を使ったり、足踏みなどを組み合わせることで脳の広い範囲の活性化につながります。
脳の働きを知ってから組み合わせを考えると、レクリエーションをする側も、参加する方も更に楽しめるのでおすすめです。
難易度別の手遊びの脳トレも詳しく紹介していきます。
是非、参考にしてみてください。
【目次】
1.手遊びが脳の活性化につながる
2.簡単な手遊び
3.少し難しい手遊び
4.難しい手遊び
5.まとめ
手遊びをすると脳の活性化になる
手を使った脳トレは、デイケアやデイサービスでもよく行われているレクリエーションで、誰でも簡単に取り入れられるのが魅力です。
手や指には非常にたくさんの働きがありますが、例えば
・握る=コップを持つ
・つまむ=ボタンをはめる
・ひねる=雑巾を絞る
このように日常生活では、繊細な動きや、ダイナミックな動きを通じて常に指先をつかった動きをしているのですね。
指遊びの脳トレでは、指や手、腕の運動機能も向上させるメリットがあります。
そして、もう一つのメリットは脳の活性化です。
手や指の動きは脳の「運動野(うんどうや)」や「感覚野(かんかくや)」を広く使うことがわかっています。
そのため、手指の脳トレは、認知症予防としても取り入れられることが多いようです。
「運動野」「感覚野」と言いましたが、初めて聞く方もいると思います。
少し詳しく説明しますね。
脳には、場所ごとに得意な役割があります。
体を動かすのは、頭の上の方にある「前頭葉」にある「運動野」が主に働きます。
これ以外にも、役割分担があるので紹介していきます。
大まかに知るだけでも、レクリエーションの企画に役立ちますので是非参考にしてみてください。
脳の働きを知って脳トレに活かそう
一般的に「脳」と聞いて一番イメージしやすいのは大脳です。
大脳の主な働きを紹介します。
前頭葉
・体の中でも特に手足を動かすときに働く
・言葉を話すときに働く
・前頭葉の言語中枢が働かなくなると「人の話は理解できても話すことができない」タイプの失語症になる
・人らしい知性をはじめ、判断力や感情をコントロールするときに働く
・絵を書いたり表現するなど創造にかかわる活動をする際にも働く
側頭葉
・言葉を理解するときに働く
・前頭葉の失語症とは違い、「音は聞こえるけれど何を話しているか分からない」症状が特徴
・例えると、「音は聞こえるけれど、何を話しかけられているか分からない状態」「言葉が分からないのに突然外国に来てしまったような状態」になります。
・側頭葉には海馬がある
・海馬の働きが弱まると、健忘症など記憶にかかわる症状があらわれやすくなる
頭頂葉
・体や顔などで感じた感覚が届くのが頭頂葉で「感覚野」という
・感覚野で広く占めてるのは、指先や顔、口の中など敏感な部分
・背中など感覚が鈍いところは感覚野の中でも狭い範囲に限られている
後頭葉
・目で見た映像をキャッチするのが後頭葉
・眼球の動きにもかかわっています
脳の広い場所を働かせるのが大事
手遊びの脳トレでは、難易度を調整することで脳の「広い部分を刺激する」ことができます。
そのため、認知症予防や改善などが期待できるといわれているのです。
元気に体が動く高齢者はもちろんですが、車いすなど、あまり体を動かせない利用者さんにも役立ちそうですね。
脳の広い部分を刺激する「ながら動作」もおすすめ
テレビをみながら食事をする、混雑した場所を、人や車に注意しながら自転車で移動するなど、私たちも日常生活において知らず知らずのうちに「ながら動作」「ながら運動」をしています。
「テレビをみながら食事をする」よりも、「人や車で混雑した場所をぶつからないように歩く」方が大変に感じませんか?
体を動かしながら頭を働かせるとき、内容が複雑になるほどに脳にかかる負荷が高くなるためです。
同時に処理しなければいけない量が多くなる程、脳は頑張って働こうとするのですね。
同時に処理できる量は、年齢とともに減少するといわれています。
そのため、転倒や物忘れなどにもあらわれてくるのです。
手遊びのレクリエーションは、組み合わせ方次第では「ながら動作」で脳の活性を高めることができます。
脳トレのレクリエーションを企画する際、是非参考にしてみてください。
では、手遊び脳トレをみていきましょう。
簡単な手遊び
指折り
簡単
・片手だけで
・小指、または親指から順番に指を折っていく
・5本の指を折ったら、逆の指から伸ばしていき手を開く
・利用者さんに見えるように、見本を見せながら進める
少し難しい
・「おやゆび」「こゆび」折る指を言いながら曲げていく
・「1.2.3……」数えながら折る
・両手を同時に行う
グーパー
・手を「グー」「パー」開いたり閉じたりする
・慣れたらペースを速める
ここは気をつけよう
麻痺(まひ)や拘縮(こうしゅく)
麻痺や、関節や筋肉が固まってしまう拘縮があると、しっかり曲げることができません。
曲がらなくても、曲げようと意識をすることが大切です。
意識ができるように「曲げられていますよ。その調子です」など声をかけるようにすると良いでしょう。
ペースを合わせる
簡単な動きだとしても、認知症や手の筋力低下があると動きがゆっくりになります。
やみくもに早く動かそうとせず、まずは利用者さんの動かせる速さに合わせるようにしましょう。
少し難しい手遊び
腕を伸ばして「グー」「パー」
腕を伸ばすのは両手同時
・腕を伸ばしたら、手は「パー」
・腕を曲げたら、胸の前で手を「グー」
・慣れたらペースを速くする
腕つきだしグーパー
・左右の腕を交互に曲げ伸ばし
簡単
・伸ばす:手は「パー」
・曲げる:手は「グー」
少し難しい
・伸ばす:手は「グー」
・曲げる:手は「チョキ」
手のひらを合わせて指を曲げる
両手の手のひらを合わせて、「親指同士」「人差し指同士」のように向かい合う指を曲げる
一人ジャンケン
・じゃんけん「ぽん」の「ぽん」で、両手同時に出す
・右手に勝つように、左手を出す
・慣れたら速める
難しい手遊び
リズムに合わせて
認知症の方にとって、記憶に馴染みある音楽や遊びは安心感や、脳の活性につながります。
ちゃつぼ
『ちゃちゃつぼ ちゃつぼ ちゃつぼにゃ ふたがない そこをとって ふたにしろ』
・片手は「グー」にして、茶つぼにみたてる
・もう片方の手をグーの上にかぶせ、蓋にする
・次に、かぶせた手をグーの下に当てて皿にする
・今度は、逆の手も同じ手順で動かす
・慣れたらペースを速くして、左右の手を素早く移し替えるようにしていく
足と手を動かす
・歌や、数字のカウントのリズムに合わせて進める
・椅子や車いすに座った姿勢
・その場で、リズムに合わせて足踏み
・「歌詞のなかの単語」「カウントの3」など決まったタイミングで手を叩く
5.まとめ
手や指を使った脳トレでは、脳の活性化につながり認知症予防として広く利用されています。
数字を数えながら、リズムに合わせてなど組み合わせはたくさんあります。
手を動かしながら、足踏みなど体を動かすことでより一層、脳を刺激することができます。利用者さんの状態に合わせながら、手遊び脳トレを通じて利用者さんの元気に活かしましょう。