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【オーラルフレイル】予防方法・セルフチェックのポイント

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オーラルフレイルは口腔機能の衰えを指し、心身の衰えである「虚弱」の状態のひとつです。
フレイルは虚弱を指します。

フレイルは健康と介護の中間の状態を指し、変化は急激ではなく徐々にあらわれます。
そのため、本人も周囲の人も兆候に気が付かず、そのままにしてしまいがちです。

まずはフレイルと兆候について説明します。
口のささいな衰えも、早期の発見と対応が重要です。
オーラルフレイルの具体的な兆候と、短時間に簡単にできる予防方法を詳しく解説します。

【目次】
1.フレイルとは
2.フレイルの兆候~セルフチェック~
3.オーラルフレイルとは
4.オーラルフレイルの兆候~セルフチェック~
5.オーラルフレイルの予防が大切なワケ
6.オーラルフレイルの予防方法
7.その他

フレイルとは

オーラルフレイルは、「オーラル」と「フレイル」という言葉が合わさった言葉です。

まず、フレイルの意味から見ていきましょう。
フレイルは、「Frailty(フレイルティ)」という英語が語源です。
フレイルティの意味は「虚弱」「老衰」で、海外の老年医学の分野で使われていました。

日本老年医学会が「適正に介入すれば機能低下が戻る」という意味を強調するために「フレイル」という単語を提唱しました。

フレイルは健康と介護の中間

フレイルは、健康と介護の中間の状態です。
加齢によって、認知機能や身体機能に衰えがでている状態を指します。
フレイルの早期発見と適切な介入が重要になります。

フレイルの兆候~セルフチェック~

加齢による心身の変化は、少しずつあらわれます。
そのため、本人も周囲の人も危機感を感じにくいのが特徴です。

フレイルの兆候は、どのようなものがあるのでしょうか?

・体重が減少してきている
・疲れやすく体力が落ちてきた
・歩くのが遅くなった
・日常生活や運動など全般的に、活動量が減った

活動量減少の原因は、筋力低下だけではありません。
加齢変化の特徴として、心のストレスが耐久性が低く、元気さを取り戻すまで時間がかかります。
気力の低下を招きやすいのです。

気力の低下が外出を億劫にさせ、社交性を低下させる要因になっているとも言えるのです。
フレイルは体と、心の両面が影響して起きているのですね。

オーラルフレイルとは?

ここまで、心身のフレイルについて説明してきました。
ここからは、オーラルフレイルについて紹介します。

オーラルフレイルの「オーラル」は、口腔を指します。
口のささいな衰えを「オーラルフレイル」と言うのですね。

オーラルフレイルの兆候~セルフチェック~

1.食事にささいな困難さを感じる

・お茶や汁物でむせる
・口からぽろぽろ食べこぼす
・食欲が減少した
・噛めない食品が増えてきた

2.滑舌が悪くなった

話をはっきりするには、舌や唇などが滑らかに動くことが必要です。
舌などの口腔器官の筋力の低下があると、舌が回らないような発音の不明瞭さがあらわれてきます。

3.歯が少ない

残存歯の本数は、オーラルフレイルに影響します。

3.口が乾きやすくなり、口臭が強くなった

唾液は口腔内の自浄作用と、舌などを動かす潤滑の役割があります。
唾液が減ると、細菌、雑菌を洗い流せなくなり、口臭も強くなってくるのです。
舌や頬の滑らかさも減り、話しにくさも感じるでしょう。

オーラルフレイルの予防が大切なワケ

オーラルフレイルは、口のささいな衰えを指します。
ささいであるとはいえ、トラブルを放置すると、食欲が減り、さらには低栄養になりかねません。

栄養が不足すると、気力や体力、足腰の筋力にも影響がでてきます。
動くのが億劫、気力も沸かない状態では活動量が減りやすく、要介護や疾患のリスクが増加してしまうのです。

このような悪循環が進行してしまうほどに、改善が難しくなってしまいます。
そのため、口の衰えが深刻化する前に、早期の適切な対策が重要です。

オーラルフレイルと健康寿命

2020年にWHO(世界保健機関)が「健康寿命」を提唱しました。
これは、寿命にだけ着目するのではなく、健康に生活できる年月を長く保つという概念です。

健康寿命は「栄養」「運動」「社会性」の3本柱で成り立っています。
ここまで「オーラルフレイルは、活動量や全身の状態にもかかわってくる」と説明しました。
オーラルフレイルは、口だけの問題ではなく「健康寿命」そのものにも深く関係があるのです。

オーラルフレイルの予防や改善方法

歯科受診

高齢になると、歯の痛みや、歯のぐらつきが生じても「歳のせいかな?」で済ませてしまったり、歯科受診も億劫になりがちです。

歯や、入れ歯など口の異変を感じたら放置せずに歯科受診をしましょう。
定期的な歯、口の管理は健康寿命にもかかわってきます。

口の健康体操

口の体操を通じて、唾液量の増加、舌や顔全体の筋力がアップすることにより表情が豊かになりコミュニケーションをより楽しめるようになります。
結果的に脳の活性化にもつながり、人との交流や外出意欲の向上も期待できるのです。

口腔機能の維持や改善には「毎日」少しの回数でも続けることが何より大事。
自宅でも一人で短時間にできるものが続けやすくおすすめです。

例を紹介します。

顔面体操

・目と口をぎゅーっと閉じる
・目と口をパッと開く(口は、なるべく大きく開く)

唇の体操

・「う~」「い~」を交互にする
※声をだすことが目的ではなく、唇を大げさに「すぼめる」「横に引く」のが大事
・唇をしっかり閉じ、頬に空気をいれる。頬をふくらませる。

舌の体操

・舌で頬の裏を強く押す(10秒ほどキープできると、なお良い)
左右交互に繰り返す
・舌を出す、引っ込めるを交互に繰り返す

唾液腺のマッサージ

指や、親指の腹でやさしくマッサージしましょう
・上の奥歯あたり:円をかくように
・下あごの内側のくぼみ:中心から耳の下までゆっくり押す

まとめ

健康と介護の中間である心身の虚弱状態を「フレイル」と言います。
高齢者は、社会的な交流の機会が減りやすく、心身の衰えも生じやすいのが特徴です。
そのため、フレイルになりやすく病気や回復力の低下、要介護の状態につながりやすくなります。

口のささいな衰えを意味する「オーラルフレイル」。
ささいな口の衰えであっても、オーラルフレイルが進むと全身の健康状態にも影響を及ぼしてしまいます。

オーラルフレイルは深刻化する前に、早期発見と適切な対応によって健康に近づける可能性が高くなります。
オーラルフレイルの兆候と、予防方法を正しく知って健康寿命に役立てましょう。

【参考資料】
日本歯科医師会 通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル「リーフレット」
https://jp.sunstar.com/oral-frail/bin/common/pdf/sunstar_vol4.pdf
日本歯科医師会 通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル
https://www.jda.or.jp/oral_flail/2020/pdf/2020-manual-all.pdf
長寿科学振興財団 健康長寿ネット フレイルとはhttps://docs.google.com/document/d/1vuzq6YSybB9eAheEBuYX2euQ-fzoHWyiCC1kwgQiSh8/edit#
(2020) 長寿科学振興財団 フレイル予防・対策 基礎研究から臨床、そして地域へhttps://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/pdf/R2_frailty_gyosekishu.pdf

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